2004 Fiscal Year Annual Research Report
質量選択・レーザー多重共鳴振動分光法の開拓による水和ネットワーク構造研究
Project/Area Number |
16002006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三上 直彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70004447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 朱鳥 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50218963)
石川 春樹 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (80261551)
前山 俊彦 東北大学, 大学教育研究センター, 助手 (20250673)
松田 欣之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手
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Keywords | 水和クラスター / 赤外レーザー分光 / 水素結合 / 分子線レーザー分光 |
Research Abstract |
本研究では、分子間結合構造解析のための次世代型分光解析装置を開拓・確立し、水素結合に関わる未踏研究領域の開拓や、水素結合ネットワークの新奇サブナノ構造の解明を実践して、水和現象の物理化学研究を深化させることであり、そのため、以下の3つの研究課題を推進している。 [1]質量選択・レーザー多重共鳴振動分光法の開拓 新型赤外OPO/OPA装置を導入して、5mm領域までの赤外分光計測が可能となって、新しい計測領域を確保することに成功している。 [2]水和現象における水素結合ネットワーク構造研究 プロトン付加した水クラスターの水素結合構造のサイズ依存性について、極めて明確な赤外分光解析を示して、その成果を米国科学誌Science誌に公表した。 同様の研究をベンゼンイオンに付加した水クラスター構造解析に適用して、クラスター内反応の存在、クラスター構造のサイズ依存性、疎水性・親水性溶媒和構造形態などに関する解析結果を欧州国際化学誌、米国化学会誌に公表した。 水と同様に重要な水素結合系であるアルコール類について、プロトン付加メタノールクラスター系のサイズ選別した赤外分光解析を行い、そのネットワーク構造が水クラスター系とは全く異なった形態であることを見出し、米国化学会誌に公表した。 [3]新奇・特異水和クラスター構造研究 サリチル酸類の電子励起状態における、励起状態水素原子異常変異に関する分光計測を実施して、OH結合が極度に弱くなって結合距離が著しく伸長することによる効果が原因であることを実証し、米国化学会誌に公表した。 微弱水素結合系の探索を継続して、1,2,4,5-tetrafluorobenzeneと水の結合体を検出することに成功し、芳香族C-H基とO-H基の間に発生する分子間力が水素結合の特徴を示すことを初めて実証した。その結果の一部は速報学術誌に公表し、さらに詳細の研究成果を米国化学会誌に公表した。
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Research Products
(6 results)