2004 Fiscal Year Annual Research Report
新学問領域「メタロミクス(Metallomics)」の創成
Project/Area Number |
16002009
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
原口 紘き 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70114618)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤森 英治 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30291412)
長谷川 拓也 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50377800)
|
Keywords | メタロミクス / 生体金属支援機能科学 / 微量金属元素 / 生物細胞 / 金属酵素 / 全元素分析 / 化学形態別分析 / 拡張元素普存説 |
Research Abstract |
本研究は、研究代表者である原口が提唱する「メタロミクス(Metallomics)」を生体金属に関する総合科学として構築し、新学問領域を創成することを目的とする。メタロミクスは日本語では「生体金属支援機能科学」、また金属と結合し、生体中で生理機能を発現する物質の総体は「メタローム(Metallome)」と提案している。近年、遺伝子科学であるゲノミクス、タンパク質科学であるプロテオミクスが先端の生命科学研究領域として注目を集めているが、これらの遺伝子合成、タンパク質合成、そしてそれらの機能発現には多くの場合金属の存在が不可欠であることを考えると、今後メタロミクスに関する研究領域の発展が強く望まれ、また生命科学の新領域の更なる進歩が期待できる。 平成16年度は本研究課題の初年度であり、研究体制の整備として、高分解能ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)、MALDI-TOFMS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間型質量分析計)、ESI-MS(エレクトロスプレーイオン化-質量分析計)を、無機多元素分析、有機生体物質分析、並びにそれらの同時分析のために導入した。これらの分析装置を用いて、今年度は、拡張元素普存説実証のためのイクラ卵細胞の全元素分析、生体微量金属の化学形態別分析、金属タンパク質/金属酵素の同定などに関する研究を進めた。その中で特筆すべき研究としては、毒性の大きい無機ヒ素(+5価)を含むヒジキ(海藻)中の無機態及び有機態のヒ素化合物の化学形態と代謝機構に関する研究を行い、ヒト体内でヒ素は無機態から有機態への化合物変換が起こることを明らかにした点である。これらの研究は、生体中の金属元素に関する研究がこれまでの全量分析であったのに対して、化学種分析・機能解析へと進展することに大きく寄与するものである。
|
Research Products
(6 results)