2006 Fiscal Year Annual Research Report
新学問領域「メタロミクス(Metallomics)」の創成
Project/Area Number |
16002009
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
原口 紘き 名古屋大学, 大学院工学研究科, 教授 (70114618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤森 英治 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (30291412)
長谷川 拓也 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (50377800)
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Keywords | メタロミクス / 生体金属支援機能科学 / 微量金属元素 / 生物細胞 / 金属酵素 / 全元素分析 / 化学形態別分析 / 細胞小宇宙説 |
Research Abstract |
研究代表者である原口が提唱した新学問領域「メタロミクス」研究の更なる発展を促進するために、(1)生物細胞1個体(イクラ卵細胞)の全元素分析、(2)生体中元素の化学形態別分析、(3)健康・環境科学への応用研究、等を推進した。(1)については、イクラ卵細胞の全元素(安定同位体元素78元素)の定量・検出にほぼ成功した。(2)の化学形態別分析については、とくに亜ヒ酸投与による白血病治療の機構を解明する目的で、新規な分離カラム「ボスファチジルコリン被覆ODS(オクタデシルシリカ)カラムを開発し、その分離特性を検討した。その結果、従来のODSカラムや胆汁酸被覆ODSカラムでは困難であった血清中のヒ素化合物の相互分離が、新規カラムでは可能となった。そこで、この新規カラムを用いて亜ヒ酸投与白血病患者から採取した血清中のヒ素の化学形態を調べたところ、モノメチルヒ素、ジメチルヒ素が検出され、亜ヒ酸の有機態ヒ素への変換が起こっていることが明らかになった。このことは、白血病治療では亜ヒ酸の有機態ヒ素化合物への変換が制がん効果として機能していることを示唆するものである。この他、タンパク質の迅速・多成分分析を可能とする有機モノリスカラムを開発し、ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析法)とのオンライン結合、MALDI-TOFMSとのオフライン結合による金属タンパク質の検出を検討した。(3)に関しては、都市大気粉塵の多元素分析と動態解析、天然水試料の多元素分析と微量金属の溶存状態解析等について研究を行った。 なお、メタロミクス研究はこの3年間で世界的に大きな注目を集めるようになったので、2007年11月28日-12月1日、名古屋で"International Symposium on Metallomics 2007"を、原口が組織委員長として、メタロミクスに関する初めての国際会議として開催する準備を進めている。
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Research Products
(14 results)