2005 Fiscal Year Annual Research Report
HIV抑制因子の遺伝子導入による新たな治療法の開発
Project/Area Number |
16017211
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小柳 義夫 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80215417)
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Keywords | HIV / レンチウイルスベクター / CXCR4 / CD63 / Env蛋白質 / tetrasanin |
Research Abstract |
レンチウイルスベクター遺伝子導入系に改良を加えcDNAライブラリをヒトT細胞に効率よく発現させる実験法として完成し、ヒト白血球由来のcDNAライブラリをヒトT細胞(MT-4)に遺伝子導入し、HIV感染による細胞障害性を抑制する細胞遺伝子の同定を試みた。その結果、4回膜貫通部位を有するtetraspanin分子群に属する蛋白質であるCD63分子がHIV感染に強力に影響を及ぼすことを見出した。特にCD63のN末端の細胞外ドメインを欠損させた変異体(CD63dN)を末梢血を含めた多くの細胞にレンチウイルスベクターにより遺伝子導入を行うと、HIVのコレセプターであるCXCR4の細胞質膜への移行が完全に阻害されること、その結果、CXCR4をコレセプターとして使うX4ウイルスの感染に対して抵抗性が付与できることがわかった。このCXCR4の細胞質膜への移行阻害効果は変異体作製実験よりCD63のN末端細胞外領域の欠損により強力に誘導されること、一方、CXCR4はこの細胞内ではERなどの特異的な細胞小器官に蓄積するのではなく、ゴルジ体から細胞質膜上への移行が阻害され、リソソームで破壊されることがわかった、さらに、CXCR4の移行阻害効果にはそのC末端細胞内領域のセリン残基が必須であり、分子特異的な細胞内移行調節機構が存在することが新たにわかった。また、CD63は別のメカニズムによりウイルス感染を抑制しうることも見出された。それは、CD63を細胞質膜上に強制発現させるとCD63そのものがウイルス粒子内に取り込まれ、Env蛋白質のウイルス粒子への取り込みが阻害される結果、感染性ウイルス粒子の形成が阻害されることを見出した。
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Research Products
(6 results)