2004 Fiscal Year Annual Research Report
単純ヘルペスウイルスの病原性発現におけるアクセサリー遺伝子の役割
Project/Area Number |
16017240
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西山 幸廣 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60115615)
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス / 病原性 / アクセサリー遺伝子 / 遺伝子機能 / UL51 / UL11 |
Research Abstract |
1.我々は、UL51遺伝子産物が感染後期に産生されるリン酸化、粒子構成タンパク質であること、N末側9番目のシステイン残基を介したパルチミン酸化が、本遺伝子産物のゴルジ膜への分布に重要であることを明らかにしてきた。しかしHSV-1増殖過程におけるUL51遺伝子産物の役割については不明であった。新たに改良したBAC systemを用いてUL51欠損変異株を作製し、その性状について検討した。作製した変異株FDL51は野生型と比較してウイルス産生量が1/100程度まで低下した。電子顕微鏡観察により、extracellularおよびintercellularの成熟ウイルス粒子数が激減する事が確認されたが、核内のnucleocapsidの形態や数については野生型と同様であった。またFDL51感染細胞では一次エンベロープを被ったカプシドが核膜周縁部に多数観察された。以上の結果から、HSV-1 UL51遺伝子産物はウイルス粒子成熟過程において重要な役割を担っていることが示された。 2.我々はHSV UL56遺伝子産物がラフトに存在するC末端アンカー型膜タンパク質であること、ニューロン特異的なキネシンの一つであるKIFIAと相互作用していることを明らかにしてきた。しかしながらUL56の機能の詳細についてはまだほとんど分かっていない。一方、UL11はウイルス粒子の成熟、放出過程に重要な働きをしていることが知られている。本年度においてはUL11とUL56の相互作用について検討した。免疫沈降法を用いて検討したところ、UL56とUL11が同一のタンパク質複合体中に存在していることが明らかになり、UL56もegressに関わっている可能性が示唆された。しかし、UL11欠損と異なり、UL56欠損はVero細胞などの培養細胞中でのHSVの増殖性にほとんど影響を与えない。このことから考えるとUL11-UL56複合体は特定の細胞におけるegressに関わっている可能性が高い。UL56とKinesinの相互作用を考えると、神経細胞でのegressに関わっている可能性が考えられる。
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Research Products
(30 results)