2005 Fiscal Year Annual Research Report
単純ヘルペスウイルスの病原性発現におけるアクセサリー遺伝子の役割
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16017240
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西山 幸廣 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60115615)
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス / 病原性 / アクセサリー遺伝子 |
Research Abstract |
単純ヘルペスウイルス(HSV)は少なくとも74種の遺伝子をコードする。しかし、その半数以上は培養細胞での増殖には必須ではないアクセサリー遺伝子である。本研究はHSVの増殖、病原性発現におけるアクセサリー遺伝子の役割、作用機構を明らかにしようとするものである。 変異ウイルスHF10はVero細胞を初めとする多くの樹立細胞株において野生株以上の増殖性を示すが、マウスの末梢部(腹腔内、Footpad、皮下、鼻腔内)への接種ではほとんど病原性を示さない。LD50/PFUの比較では多くの臨床分離株が1,000〜2,000であるのに対し、HF10は50,000,000以上である。また、多くの培養細胞において、増殖に伴う著しい細胞融合を誘導する。さらには、HF10は種々の動物モデルにおいて優れた抗腫瘍作用を示し、安全性も高い。 HF10の全塩基配列を決定し、既に報告のあるHSV-1(strain17)と比較した。その結果、UL56(C末端アンカー型type II膜蛋白質)、LAT(Latency-associated transcripts)に加えて、新たにUL43,UL49.5及びUL55の計5種のアクセサリー遺伝子の発現が欠損していることが明らかになった。その他、UL1,UL2及びUS領域に含まれる遺伝子群に高い変異が認められた。また、細胞膜融合(syn)を誘導することが知られている、既知の変異が数ヵ所あることが判明した。 HF10はウイルス複製開始点L(oriL)が欠損していることが明らかになった。調査の結果、他の実験室株においてもoriLを欠損するものがあり、oriLは培養細胞での増殖において脱落しやすいこと、その脱落には、oriLパリンドロームの上流及びパリンドローム内にある8bpの領域が重要な役割をもつことが示唆された。
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Research Products
(23 results)