2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16017252
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松浦 善治 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (50157252)
|
Keywords | HCV / 感染機構 / リセプター / シュードタイプウイルス / 細胞融合 |
Research Abstract |
細胞培養系のないC型肝炎ウイルス(HCV)の感染の初期過程を解析し、以下の成績を得た。 1)1HCVのエンベロープ蛋白質を被ったシュードタイプ水疱性口内炎ウイルス(VSV-pp)はHepG2細胞に特異的に感染し、昆虫細胞で作製したHCV様粒子(HCV-LP)の添加により濃度依存的に感染が阻害されたことから、VSV-ppとHCV-LPが同一の再棒表面分子と結合しているものと推測された。 2)ヘパリンがVSV-ppの感染を阻害することから、ヘパリンとの結合が活性発現に重要な各種成長因子によるVSV-ppの感染阻止活性を調べたところ、FGF、特にFGF2とFGF7がVSV-ppの感染を特異的に阻害した。FGFの可溶化型の受容体(FGFR)の中で、FGFR4とFGFR5がVSV-ppの感染を特異的に阻害し、HCV-LPやC型肝炎患者血清中のHCV粒子とも結合した。また、セファロースに固層化したFGFR4とFGFR5はHCV-LPのみならず、ウインドウ期血清中のHCVを特異的に沈降した。 3)FGFR4あるいはFGFR5を恒常的に発現するCHO細胞はHCV-LPや患者血清中のHCVと特異的に結合した。特にFGFR5を発現するCHO細胞株はVSV-ppの感染を許容できるようになり、siRNAによってFGFR5をHepG2細胞からノックダウンさせると感受性の低下が観察されたことから、FGFR5がVSV-ppの侵入受容体である可能性が示唆された。一方、HepG2細胞から、siRNAによってFGFR4をノックダウンさせても、VSV-ppに対する感受性の低下は観察されなかった。以上の成績から、FGFR4とFGFR5がHCVの新しい受容体候補分子であることが示唆された。 4)これまでに、糖鎖付加部位を欠損あるいは新たに導入した変異E1蛋白質の解析により、糖鎖修飾の有無を指標にしてそのトポロジーを解析した結果、E1蛋白質はこれまで考えられていた1型糖蛋白質よりも、小胞体膜を2回貫通して比較的大きな細胞質領域を保持したトポロジーを取る可能性が示唆された。さらに、この細胞質領域とコア蛋白質が特異的に結合することが示された。
|
Research Products
(5 results)