2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16017280
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平山 壽哉 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50050696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真嶋 浩聡 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10261869)
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Keywords | ヘリコバクター / 空胞化毒素 / VacA / 細菌毒素 / 阻害物質 / 血清成分 |
Research Abstract |
ヘリコバクター・ピロリが産生する空胞化毒素VacAの胃粘膜障害機序を明らかにする。そのために、「VacA毒素がその受容体である膜型チロシンフォスファターゼ(RPTP)に結合することによって惹起される空胞形成及び細胞死にいたる細胞内シグナル伝達の流れを明らかにする」ことを目指し、以下の研究成果を得た。 1.受容体の毒素結合部位と細胞内移行の機序:VacAが結合するRPTPβには細胞外領域の長いもの(RPTPβ-A)と短いもの(RPTPβ-B)との2種のアイソフォームがある。そこで短いRPTPβ-Bの細胞外領域の長さの異なる変異体するとともに結合に重要と思われるアミノ酸を変異させ、それぞれの変異体のVacA結合活性を調べた。その結果、N末端より数えて747-751番目のアミノ酸(QTTQP)がVacA結合に必須であり、加えて748位あるいは789位のThrが結合に重要であることが判明した。747-751番目のアミノ酸(QTTQP)はO-glycosylationされていることが示唆されており、毒素との結合にシアル酸が重要であることとも矛盾しない。 2.VacAの細胞内移行にはlipid raftの関与が重要であることが知られていたが、RPTPβの関与については明らかにされていない。我々はVacAはlipid raft以外の細胞膜上に存在するRPTPβに結合し、温度依存的にlipid raftに集積した後に細胞内へ移行することを明らかにした。 3.VacAは胃由来株化細胞であるAZ-521細胞のp38MAPキナーゼを活性化し、転写因子ATF-2のリン酸化を引き起こして活性化することを報告したVacAが宿主の転写因子へ影響することが我々の論文(2)の発表とほぼ同時にT細胞でも証明されている。今後、VacAの毒性を理解する上で転写因子とのかかわりを究明することが重要と考えた。
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Research Products
(6 results)