2004 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞免疫で誘導されるCD4^+T細胞由来HIV感染防御因子の同定と作用機序解明
Project/Area Number |
16017288
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
田中 勇悦 琉球大学, 医学部, 教授 (30163588)
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Keywords | HIV / 樹状細胞 / CD4+T細胞 / AIDS / 感染防御 / 未知因子 / SCIDマウス |
Research Abstract |
私の研究グループは、動物個体レベルでヒトの免疫応答を研究する独自の実験系として、正常ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を移植したヒト/マウスキメラ動物であるhu-PBL-SCIDマウスを抗原で感作したin vitro誘導自家樹状細胞で移植免疫する方法を開発した。この系では、マウス体内でヒト型の抗原特異的抗体およびT細胞免疫応答を誘導することができる。重要な発見は、不活化HIV-1感作樹状細胞で免疫したhu-PBL-SCIDマウスはCCR5使用HIV-1感染に抵抗性を示すことであり、そのメカニズムを明らかにするのが本研究の目的である。昨年度までの研究によって、(1)樹状細胞免疫で誘導されるHIV-1免疫は、ヒトのT細胞が産生する未知の因子であり、(2)因子が働く標的である活性化PBMCからCD8+T細胞を除去しても因子の活性には影響がなく、因子の機能発現には混在するCD8+T細胞は必要がないこと、(3)このHIV-1抑制因子を産生する免疫ヒトCD4+T細胞は、in vitroにおいてAPC+HIV-1由来のpeptideで刺激培養することによって産生され、その応答ペプチドはドナーにより異なり、HIV-1のenv、gag、polおよびnef由来の15-merペプチドであることを明らかにした。そこで平成16年度には、本因子の更なる解明をするために、免疫CD4+T細胞をHTLV-Iを用いて不死化し、因子を持続的に産生する細胞株TM#8を樹立した。因子を産生しない細胞株TM#3と比較研究を行った。種々のサイトカイン中和抗体を用いて調べてもやはり、この因子は、現在知られているHIV-1抑制因子と相同性がなかった。分子解析をすすめるために、2次元電気泳動を試みたが、TM#8と#3との間でスポットに差は見られなかった。そこで、因子の受容体を調べる為に種々の細胞を用いて吸収試験を行ったところ、ヒトのマクロファージや単球で効率良く吸収された。活性化したヒトT細胞や、ヒトの多核白血球、マウス由来のマクロファージ、または調べたヒトの細胞株(単球由来、T細胞由来、B細胞由来)では吸収活性はなかった。この観察より、目的とする因子の受容体の存在が示唆され、その受容体は、単球系の細胞により多く発現することが分かった。
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Research Products
(1 results)