2004 Fiscal Year Annual Research Report
江戸期における産業技術と先端科学技術の接点-醸造技術を中心に-
Project/Area Number |
16018223
|
Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
塚原 修一 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 部長 (00155334)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 昭彦 国立教育政策研究所, 教育政策・評価研究部, 総括研究官 (80189480)
鎌谷 親善 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 客員研究員 (60057982)
|
Keywords | 醸造技術 / 江戸時代 / 日本酒 / 酒造技術 / 藍 / 硝石 / 火薬 / 硝子 |
Research Abstract |
日本酒、醤油、藍、硝石などを製造する醸造/発酵技術は、日本国内において独自に発展を遂げた代表的な在来技術のひとつである。これらは江戸末期に相当な水準にあり、明治期にもいくつかの重要な改良が行われた。本研究では、博物館、製造業者などが所蔵する醸造/発酵技術関係史料を調査し、史料の体系化とともに、在来技術の発展過程における蘭学(当時の先端科学技術)との接点を明らかにする。 (1)大阪大学、九州大学、関西大学の図書館、佐賀県と長崎県の県立図書館、国立歴史民俗博物館、萩市博物館、鍋島報效会、菊正宗酒造記念館、三木文庫(徳島県)、中島家(萩市)などを訪問し、史料の探索と複写を行った。 (2)日本酒については、この特定領域研究(2)の一環として平成14年度から研究を行ってきた。江戸期の醸造家の記録を複写して解読し、その成果の一部を翻刻して学術雑誌に発表した。 (3)硝石は火薬や硝子の主原料であり、金属加工に欠かせない存在であって、肥料の主要成分のひとつでもある。先行研究では、軍事史で火薬が、工芸史で硝子が扱われていたが、硝石・火薬・硝子を発酵と関係づけた考察は少なかった。硝石の製法は、五ヶ山には残されているが、他の生産地については適切な史料を知らない。 (4)江戸中期以降、外国船が来航して国防への関心が高まると、火薬原料である硝石の重要性が注目され、伝統的な硝石製造法に関する著作があらわれた。享保5年に蘭書の輸入が解禁されると、蘭書を通して硝石への理解が深まった。蘭書の翻訳による近代化学の摂取は蘭学者や医師によって行われたが、彼らにつながる技術者たちがその知識を硝石製造に適用して生産を質量ともに向上させた。この成果の一部は、日本科学技術史学会第7回大会(平成16年12月)において「江戸時代の硝石について」として研究発表した。
|
Research Products
(1 results)