2004 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞特異的遺伝子NanogとERasの腫瘍形成における役割
Project/Area Number |
16022245
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山中 伸弥 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (10295694)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一阪 朋子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教務職員 (40362850)
|
Keywords | 幹細胞 / ホメオボックス / スモールG蛋白質 |
Research Abstract |
胚性幹細胞(ES細胞)は哺乳動物の初期胚(ブラストシスト)に由来する幹細胞で、成体を構成するすべての細胞へと分化できる多能性を維持したまま、半永久的に増殖する。ES細胞は不死であることや未分化であることなど腫瘍細胞との共通点も多い。さらにES細胞を生体に移植すると三胚葉系の様々な組織を含む奇形腫を形成すことから、ES細胞は腫瘍細胞に類似するだけではなく、ある意味で腫瘍細胞そのものであると言える。これまでES細胞は恒常活性型のRas蛋白質であるERas (ECAT5)を特異的に発現していること、またホメオボックス転写因子Nanogは分化多能性の維持に必須であることを見いだした。本研究の目的はERasとNanogの腫瘍形成における役割を検討することであった。 1.ヒトの様々な腫瘍組織におけるERasとNanogの発現をノザンブロット、ウェスタンブロットおよび免疫組織染色により検討した結果、上皮細胞癌でERasの、精巣細胞癌でNanogの発現が確認された。 2.NanogやERasをノックダウンするRNAiの系を現在、条件検討中である。 3.未分化状態がSTAT3により維持されているES細胞と、Nanogにより維持されている細胞との間で、DNAマイクロアレー解析を行った結果、NanogやSTAT3の標的遺伝子の候補を複数同定した。 4.Nanogは他の転写調節因子やクロマチン修飾因子と複合体を形成する可能性がある。そこでNanogと結合する蛋白因子の同定をアフィニティ精製により試みたが、現在まで同定には至っていない。 5.ERasの下流シグナル探索し、ERasはRaf1やするため、既知のRasエフェクターRalGDSとは結合せず、PI3キナーゼに特異的に結合することを見いだした。 6.ERasが膜局在する機構を解析した結果、他のRas蛋白質と同様にファルネシル、メチル化、パルミトイル化という、複数の脂質修飾が必要であることを明らかにした。
|
Research Products
(5 results)