2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16028201
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
青木 慎也 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (30192454)
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Keywords | 格子OCD / 小林・益川行列 / チャームクォーク / 作用の改良 / 超微細構造 / 崩壊定数 / カイラル対称 / ドメインウォールフェルミオン |
Research Abstract |
素粒子の標準模型において小林・益川行列の決定は重要であり、現在も多くの理論的計算、精密測定実験が行われている。特に、ボトムクォークを含む重いB中間子の物理が重要であり、日本のKEKやアメリカのSLACのBファクトリーで精力的な実験が行われている。その実験結果から小林・益川行列を決定するには格子QCDによる理論的な弱電磁行列要素の非摂動的な計算が必要である。しかしながら、格子上では格子カットオフより重いクォークを取り扱うことには理論的な困難があり、精密な計算が難しかった。本研究では、この困難を解決するために格子作用の改良という考えを重いクォークの場合に適用した新しい方法を用いて、以下のような結果を得た。 1.重いクォークの格子作用やカレントのO(a)改良に必要な理論のパラメタを摂動展開の1次で計算した。 2.1の計算で決定したパラメタを用いて、格子QCDのクエンチ近似モンテカルロ計算で、我々の方法の有効性をテストした。従来の方法に比べて、連続極限で成り立つべき粒子の分散関係や崩壊定数などの相対論的不変性の回復が非常に良いという肯定的な結果を得た 3.同じ作用を用いて、2つの軽い力学的クォークを含んだ場合に、チャームクォークを含んだ中間子のスペクトラムの超微細構造や崩壊定数を計算した。3つの異なった格子間隔での結果を使って連続極限への外挿を行なった。従来、クエンチ近似では超微細構造の質量差が実験に比べてはるかに低いという問題があったが、今回の結果は連続極限で実験値とほぼ一致するものであり、力学的クォークの効果で超微細構造が正しくでることを世界で初めて示した。また、今までの方法では大きな系統誤差のため、力学的クォークを含んだ計算では崩壊定数の連続極限への外挿が出来なかったが、新しい方法によるO(a)改良の効果で連続極限への外挿が可能になり、また、誤差の少ない結果を得ることができた。 4.重いクォークのO(a)改良された作用とカイラル対称性を持つドメインウォールフェルミオンの軽いクォーク作用を組み合わせてカレントの繰り込み及び改良係数を計算した。カイラル対称性のおかげでベクトルカレントと軸性ベクトルカレントの係数が等しくなることを証明した。
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Research Products
(5 results)