2004 Fiscal Year Annual Research Report
界面凝集体の時間分解局所トンネル電子励起アンチストークスラマン分光
Project/Area Number |
16072203
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福村 裕史 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50208980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOBLEY Jonathan 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40332499)
ZHANPEISOV Nurbosyn 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10326275)
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / ナノ材料 / 化学物理 / 固液界面 / 分子分光 |
Research Abstract |
倒立型光学顕微鏡の上に走査型トンネル顕微鏡の走査ユニットをのせて、同時に測定のできるシステムの組立てを行い、さらに下部あるいは斜め上方からアルゴンイオンレーザーを照射して発光スペクトルの測定および画像観察を行った。試料としては、酸化インジウム酸化錫透明導電性基板上にペリレン誘導体、フタロシアニン誘導体などの色素分子の溶液を置いたもの、あるいはこれが乾固して色素が吸着したものを用いた。溶液試料の下部から光照射した場合には、比較的容易に溶媒のラマンスペクトルが得られることを確認した。乾固した試料に斜め上方から光照射して、単一分子からの蛍光を同時に観測したところ、走査型トンネル顕微鏡のプローブ先端付近からも発光が観測された。この発光の強度は励起光の強度に比例し、金属の表面形状に依存すること、発光スペクトルは金属の種類と形状によって変化するので、金属自体の光励起発光に帰属した。このプローブ発光を用いて、単一分子の蛍光が励起できるか、あるいは金属プローブにより蛍光消光が起こるかの実験を開始したが、まだ結論は出ていない。 分子間相互作用計算の手始めとして、アミン-水系の水素結合によるラマン散乱シフトの見積もりを行った。その結果、実験で得られたC-H伸縮振動のシフトは、アミン分子から水分子への電子の部分的移動によって起こるC-H結合のイオン性の増大によることが明らかとなった。アミンに水が数個結合した環状構造が最もシフト量が大きいことも説明が可能となった。今後、グラファイト基板と芳香族分子の相互作用の計算へと展開していく。 グラファイトなど不透明基板に吸着した分子の分子像と発光を、同時に観測するための装置の製作にも着手した。本年度は凝集ステアリン酸膜などの分子像観察が行えることを確認し、入射光学系の設計を行っている。光信号によって分子像を描くための電子回路、ソフトウエアの検討も進めている。
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Research Products
(6 results)