2004 Fiscal Year Annual Research Report
2波長ピコ秒赤外超解像顕微鏡の開発と単一細胞への応用
Project/Area Number |
16072207
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 正明 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (60181319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池滝 慶記 オリンパス, 先進技術研究所, 主任研究員
酒井 誠 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (60298172)
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Keywords | 2波長 / ピコ秒 / 赤外超解像顕微鏡 / 蛍光 / 単一細胞 |
Research Abstract |
我々は本研究において、種々の蛍光性分子に対する過渡蛍光検出赤外分光法による振動緩和ダイナミックスの研究を行い、これに単一細胞へ適用可能な2波長ファーフィールド赤外超解像顕微鏡法の原理を検証することを目的としている。従来の赤外顕微分光では、赤外光を試料へ集光し、透過もしくは反射率変化をモニターする。この時の空間分解能は、赤外光の集光スポットサイズで決まるが、その大きさはレンズのNAと波長で決まる回折限界により制限される。即ち、回折限界以下に集光することは物理的に不可能であり、3μm(NA=0.6、波長3μmのときの回折限界)の壁を超えるのは極めて困難である。一方、我々の提案する赤外顕微分光法は、赤外の回折限界を遥かに凌ぐ分解能を有する可能性を秘めている。過渡蛍光検出赤外分光法は、従来振動緩和の研究手段として用いられているものであり、第1の赤外レーザー光によって特定の振動に赤外励起した分子のみを第2の可視レーザー光により選択的に電子励起することで生じるS_1からの蛍光(過渡蛍光)を検出する分光法である。この時、過渡蛍光は赤外光と可視光の重なり部分でのみ発生する。赤外光および可視光はそれぞれの波長に依存する回折限界以下に集光できないが、この重なり部分の過渡蛍光発生領域は原理上、可視光の回折限界まで収縮可能である。即ち、赤外の振動情報を可視光の回折限界に依存する空間分解能で取り出す赤外超解像顕微分光が実現可能である。平成16年度は、ピコ秒赤外光及び紫外光を同時に用い赤外励起分子に由来する過渡蛍光を測定することで波長が3μm領域の赤外光に対して回折限界の半分以下の過渡蛍光像を観測した。即ち、光の回折限界を突破した空間分解能を有する超解像赤外顕微鏡法の原理検証実験に成功した。
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Research Products
(6 results)