2005 Fiscal Year Annual Research Report
超高速非線形分光法を用いた表面化学反応の実時間計測
Project/Area Number |
16072208
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
和田 昭英 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (20202418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 純 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (50272711)
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Keywords | 時間分解分光 / 振動分光 / 表面反応 / 和周波発声法 / 反応制御 / 最適化波形整形 / 低派数振動モード / 超高速分光 |
Research Abstract |
温表面における吸着分子同士の相対的な位置関係は,表面反応にとって重要な因子であると考えられる。そこで,温度を変化させた場合の吸着分子の吸着構造の動的変化やそれが吸着分子同士の相互作用に及ぼす影響を検討することを目的として,吸着量によって吸着構造が変化する系であるシクロヘキサン/Ni(111)表面系の動的挙動を,温度ジャンプ法と和周波発生(SFG)法を組み合わせた時間分解振動分光法により検討した。シクロヘキサンは吸着量によって低吸着相と高吸着相の2種類の吸着構造を有する。低吸着相と高吸着相の2種の相が混在する状態で,それぞれの相におけるシクロヘキサンのCH伸縮バンドをキーバンドとして,近赤外パルス照射による約300Kの温度上昇により,低吸着相にあるシクロヘキサン分子が変化する様子を実時間で追跡・観測した。その結果,低吸着相にある分子は,温度上昇により準安定な高吸着相へと約100psかけて変化していき,その後,表面温度の低下とともに元の低吸着相へ戻っていくことを明らかにした。 初年度に作製した高出力波形整形システムを用いて,ペリレン結晶の2光子励起効率の制御メカニズムを検討した。低温(〜40K)の結晶において励起効率を倍増させた波形が,室温における結晶及び溶液系の試料に関しても励起効率を増大させることを見出した。結晶と溶液の両方で同じパルス波形によって同様の効率増大が確認されたことから,効率増大には分子内のプロセスが主な役割を果たしていると結論した。さらに,その波形の2乗をフーリエ変換したところ370cm^<-1>付近をピークとしたブロードな特徴的なピークが観測された。ペリレン分子は300cm^<-1>〜400cm^<-1>付近に電子励起状態と強く相互作用する振動モードが存在することから,励起効率の増大はこの振動モードの励起が関与していると考えられる。
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Research Products
(7 results)