2006 Fiscal Year Annual Research Report
超高速非線形分光法を用いた表面化学反応の実時間計測
Project/Area Number |
16072208
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
和田 昭英 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 教授 (20202418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 純 東京大学, 工学系研究科, 助教授 (50272711)
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Keywords | 時間分解分光 / 振動分光 / 表面反応 / 和周波発生法 / 反応制御 / 最適化波形整形 / 低波数振動モード / 超高速分光 |
Research Abstract |
近赤外パルスを表面に照射することで生じる急峻な温度上昇により反応を一斉に開始させ,時間的に遅らせたプローブ光で反応による吸着分子の分子構造や吸着構造の変化をモニターすることで,表面吸着分子の動的挙動を実時間でモニターすることが出来る.本研究では,プローブとして表面選択的な2次の非線形分光法である和周波発生(SFG)振動分光法を用いた.この時間分解SFG振動分光法により,Ni(111)表面上に吸着したメトキシ(CH_3O-)種のダイナミクスについて検討した。SFGスペクトルには2921cm^<-1>と2821cm<-1>にそれぞれピークが観測され,対称CH伸縮モードによるバンドと変角モードと伸縮モードのフェルミ共鳴によるバンドと帰属された.また,メチル基のC_3柚に対して垂直な遷移双極子を持つ縮重CH伸縮振動モードが観測されなかったことから,メチル基はNi(111)表面に対して垂直に配向していることが確認された.これらメトキシの吸着した表面に近赤外パルスを照射して瞬間的な温度上昇(ΔT〜250K)を引き起こしたところ,各バンドのサブナノ秒オーダーの過渡的な強度減少と引き続く強度回復が観測された.この観測された過渡的な変化は,Niの物性値に基づいて熱拡散方程式を解いて得られる表面温度の過渡的な変化に,メトキシが温度上昇により生じた中間状態と平衡にあるとする仮定と組み合わせて得られるシミュレーションにより良く再現することができた.この結果から,近赤外照射による温度ジャンプにより,メトキシは分解することなく配向や吸着サイトを過渡的に変化させていることを明らかにした.
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Research Products
(3 results)