2006 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞内の光合成膜環境順応ダイナミクスを解明する3次元超解像時間分解顕微分光
Project/Area Number |
16072209
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
熊崎 茂一 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (40293401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 雅祥 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (10346075)
大岡 宏造 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教授 (30201966)
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Keywords | クロロフィル / 葉緑体 / 顕微分光 / 2光子励起 / 緑藻 / 光合成 / チラコイド膜 / 光化学系 |
Research Abstract |
平成18年度には、緑藻、藍藻、植物の全ての試料について、光化学系1、光化学系2、フィコビリゾームが発する蛍光スペクトルとその細胞内(葉緑体内)発光領域に関する膨大な基礎データを取得することができ、その結果、光合成を行うチラコイド膜の動作機構解明につながる多くの知見を発見することができた。多数の細胞、葉緑体の精密顕微スペクトル画像を得るために、ラインスキャン半共焦点二光子励起蛍光スペクトル顕微鏡を完成させた。これは線状領域の全ての点からの蛍光スペクトルを一度の露光時間で得るもので3次元走査時間を1桁以上改良することができた。それを用いて以下の知見を得た。(1)ラン色細菌の細胞において、自己吸収効果や分解能の波長依存性では説明できない細胞内蛍光スペクトル変化を見出した。特にフィコビリゾームと光化学系2の間の強度比がチラコイド膜形態との間に高い相関を示した。(2)植物(トウモロコシ)の葉緑体で、夜間に採取した葉緑体と昼間に採取した葉緑体の間で、系統的な差を見出すことができた。それは巨視的計測でこれまで知られてきた現象ではあるが光学顕微鏡としては最高の解像力の空間レベルで確認されたのは初めてであろう。そして、チラコイド膜のグラナ領域とそれ以外の領域を系1蛍光と系2蛍光の強度比から識別するための波長領域を決定することができた。(3)緑藻クロレラでは明順応した場合と暗順応した場合とでチラコイド膜の性質(空間分布)が非常に異なっていることを発見した。 我々の研究は葉緑体内のチラコイド膜構造を観察するための方法論を提案しており、今後、蛍光検出感度、解像力の向上によってさらに精密な葉緑体観察法として発展できる可能性が明確に示された。シアノバクテリアの観察結果は今のところ顕微鏡専門国際誌に投稿済みで、最終的な受理とはなっていないが、査読の第一段階では、軽微な修正で受理される可能性が高いと言う返事を得ている。植物葉緑体の論文も鋭意執筆中である。
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Research Products
(5 results)