2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16072212
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮坂 博 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (40182000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊都 将司 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助手 (10372632)
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Keywords | レーザー誘起結晶化 / 相分離 / レーザー多光子顕微鏡 / 単一分子計測 / 結晶成長 |
Research Abstract |
低温77Kにおいて、溶質としてピレンを10^<-3>から10^<-2>M程度含むメチルシクロヘキサン-イソペンタン剛体溶液にナノ秒355nmレーザー光を照射すると、ピレン固体結晶が析出する。この過程に対する、(1)溶質濃度、(2)溶媒組成比、(3)レーザー光強度の依存性を検討した。その結果、(1)に対しては、溶媒の組成にも依存するが、濃度が2-4×10^<-3>Mより高濃度の場合にのみレーザー誘起結晶化が進行することが見出された。(2)に対する依存性からは、溶媒のガラス転移温度が低い組成の溶媒ほど結晶析出が容易に進行することが確認できた。また(3)レーザー光強度には閾値が存在し、mJ/cm^2程度の励起エネルギーが結晶析出のために必要であることがわかった。これらの結果、溶質の光吸収による溶液の温度上昇による一時的な液化と溶質の運動性の増加が結晶析出に重要な役割を果たすことが示唆されるが、レーザーの集光体積および溶液の熱容量を考えると、レーザー光の吸収による照射体積の温度上昇はせいぜい数K程度と見積もられる。溶媒の組成比にも依存するが、これらの剛性溶媒系の融点は、90-110K程度であり、照射体積全体がレーザー照射による光吸収によって一時的にせよ液化するとは考えにくい。そこで、溶質であるピレンの逐次多光子吸収を考慮した局所的温度上昇を考慮したコンピューターシミュレーションを行った。その結果、分子周囲の局所的な温度上昇により溶質ピレンの並進運動が一時的可能となり、隣接溶質間距離が数nm以内であれば、溶質分子同士が励起状態の間に出会う確率が存在することが示された。すなわち、局所的な分子レベルの温度上昇による溶質運動性の増大、励起分子-基底状態分子間の相互作用による二量体生成、温度低下によるこの二量体構造の保持、次の励起による同様な過程の進行、といった過程を経て熱力学的には安定な結晶析出が進行すると考えられる結果を得た。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Photoinduced Electron Transfer and Excitation Energy Transfer in Directly Linked Zinc Porphyrin/Zinc Phthalocyanine Composite.2006
Author(s)
F.Ito, Y.Ishibashi, S.R.Khan, H.Miyasaka, K.Kameyama, M.Morisue, A.Satake, K.Ogawa, Y.Kobuke
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Journal Title
Journal of Physical Chemistry, A 110,47
Pages: 12734
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