2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16072218
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 義人 独立行政法人理化学研究所, 石川X線干渉光学研究室, 先任研究員 (80260222)
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Keywords | 時間分解X線回折 / 有機結晶 / 放射光 / フォトクロミック結晶 / 格子ダイナミクス |
Research Abstract |
高輝度放射光を用いた時間分解X線回折法により、有機結晶中のフォトクロミック反応に伴って起こる結晶格子の変化の様子を調べた。これまでに大型放射光施設SPring-8にて整備した時間分解測定システムに、三結晶回折法を導入し、格子の特定軸方向の挙動を他の変形成分と分離して詳細に調べた。 三結晶回折法とは分光結晶によって単色化されたX線を結晶試料に入射し、その回折X線をアナライザー結晶により角度分解して検出するもので、単結晶試料に対して変形テンソル成分を個別に測定できる有力な手法である。これにより、伸縮歪みとずれ歪み(または回転)を区別することが可能となる。高輝度アンジュレーター光を利用して、これに時間分解測定法を適用し、半導体結晶における動的歪みについて、ピコ秒時間分解三結晶回折法が行えることを実証した。さらにこの手法をフォトクロミズムを有するジアリールエテン単結晶にも適用した。この結晶は、紫外光照射で着色状態(閉環体)に、可視光照射で無着色(開環体)になる。したがって、チタンサファイアレーザーの倍波で着色状態に、He-Neレーザー照射で無着色状態に戻して、マルチチャンネルスケーラーにより、それぞれの結晶角でのX線回折強度の時間構造を取り込んだ。サイズ1mm程度の単結晶について測定した結果、レーザー照射中は大きく膨張し、照射後は、伸縮歪みだけでなく、ずれ歪みや、部分的回転が維持されていることがわかった。 また、一方向から光照射した際の局所的な格子の振る舞いについて調べるために、空間分解X線回折実験を行った。厚さ約1mmの単結晶について、X線散乱面に対して垂直方向から波長400nmの光を当て、50μmの空間分解能でX線回折強度の光進入方向依存性を測定した結果、歪みは照射表面に局在している様子が観測された。
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Research Products
(6 results)