2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16074203
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大塩 寛紀 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (60176865)
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Keywords | 配位空間 / 金属錯体 / 金属錯体 / 酸化物クラスター |
Research Abstract |
本研究では、配位空間を分子の凝縮・ストレス・変換場として積極的に設計・利用することにより次の研究を目指した。 1)外場応答性配位空間の創成:準備研究として、多様な機能性部位を導入可能なスピンクロスオーバー配位子合成法を確立した。窒素系三座配位子dppH(=dipyrazol-3-yl-pyridine)からなる既知の[Fe^<II>(dppH)_2](BF_4)_2錯体は転移温度(T_c)263Kで急激な一次のスピン状態転移を示す共に、低温において可逆なLIESST挙動を示す。LIESSTにより生じる高スピン状態から低スピン状態の緩和温度は約80Kと比較的高いことから、この錯体は光応答性分子として有用であると考えられる。新たに合成した窒素系三座配位dppOH(=dipyrazol-3-yl-4-hydroxymethylpyridine)は置換基として-CH_2OH基を有し、一般的な有機合成反応によりさまざまな機能性部位の導入が可能なことから本研究における全ての化合物の前駆体と考えられる。この配位子から得られる錯体[Fe^<II>(dppOH)_2](PF_6)_2は、磁化率測定の結果T_c=243Kを有するスピンクロスオーバー錯体であり、5Kにおける緑色光照射により100%高スピン状態に光転移することが明らかとなった。 2)配位空間における巨大酸化物クラスター分子の合成:配位子(L=2,6-bis[N-(2-hydroxyethyl)iminomethyl]-4-methylphenol)とマンガンおよび銅イオンの反応により、混合原子価錯体[Mn^<III>_8Mn^<IV>_4Cu^<II>_8(O)_<16>(Ac)_4(MeO)_4(L)_4](NO_3)_4を偶然合成することができた。この錯体は、4つのCu(II)複核錯体が酸化物イオン架橋子混合原子価Mn(III, IV)12核コアをキャップした構造をもつ。現在、錯体の物性測定を行っている。
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Research Products
(4 results)