2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16074203
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大塩 寛紀 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (60176865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二瓶 雅之 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (00359572)
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Keywords | 配位空間 / 多段階スピン平衡錯体 / 多重安定性分子 |
Research Abstract |
金属錯体は配位結合などの強い結合や分子間の電荷移動相互作用・双極子相互作用・ファンデルワールス力・水素結合などの弱い相互作用により空間(配位空間)を創る。この配位空間は、空間を作る金属イオンの配位構造・電子状態を制御することにより、特異な形状と電子状態をもつ空間設計が可能である。本研究では、配位空間を分子の凝縮・ストレス・変換場として積極的に利用することにより、特異な物性を示す金属錯体を合成した。分子ストレスによる多段階スピン平衡挙動:遷移金属錯体は柔軟な立体構造と多様な電子構造から、磁性・光物性・伝導性等の特異な物性を示す。中でもスピン平衡は熱・光・圧力・磁場等の外場によりスピン状態を動的に変化させ得る興味深い現象であり、スイッチング素子としての応用が期待される。これまで合成されたスピン平衡錯体は、そのほとんどが一段階でそのスピン状態を変える双安定性錯体であったが、分子中に二つ以上のスピン平衡部位を導入できれば、多段階でそのスピン状態を変えることが可能な多段階分子スイッチング素子を合成することが出来る。また、スピン平衡現象はカウンターイオンや結晶溶媒など分子を取巻く環境、すなわち分子ストレスに敏感である。シアン化物イオンは種々の金属イオンを架橋し、その錯体は興味深い磁気的挙動を示すバルク磁性体になる。我々はプルシアンブルー類縁体の最小構成単位であるシアン化物イオン架橋環状4核錯体合成法を確立し、それに配位子場が異なる配位子を適宜導入することにより2段階スピン平衡挙動を示す化合物([Fe_4(m-CN)_4(bpy)_4(tpa)_2](PF_6)_4:tpa=tris-2-pyridylmethylamine)を合成した。この錯体の詳細な結晶構造解析および磁気測定により、多段階スピン平衡挙動が分子間ππ相互作用により生じたストレスに起因していることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)