2004 Fiscal Year Annual Research Report
配位空間を活用したヘテロ分子集合体の構築と特異な光・磁気相乗効果の創出
Project/Area Number |
16074205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 憲道 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60149656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 真哉 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (70345065)
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Keywords | 光異性化 / 有機・無機複合錯体 / 強磁性 / 光磁性 / ヘテロ分子集合体 / 配位空間 / 協同ヤーン・テラー効果 / インターカレーション |
Research Abstract |
有機物質から無機物質にわたるヘテロ分子集合体は、従来の有機化合物や無機化合物が単独では実現できなかった高次機能性を発現させる可能性を豊かに内包している。本研究では、配位空間を反応場として活用することにより外場に応答する有機分子と特異な磁気的および光学的性質を有する集積型金属錯体を組み合わせたヘテロ分子集合体を構築し、高度な機能性をヘテロ分子集合体で発現させる研究を推進してきた。 層状磁性材料に有機分子をインターカレートした有機・無機複合錯体における磁性の光制御を研究目的として、ジアリールエテン誘導体を対イオンとした二次元強磁性材料であるペロブスカイト型化合物ACuCl_4(A=カチオン)およびLDHs(一般式:CO_2(OH)_3A・nH_2O(A=アニオン))の開発研究を行った。二次元磁性材料のペロブスカイト型銅化合物ACuCl_4は、協同ヤーン・テラー効果により面内で強磁性相互作用を起こす興味深い物質であり、この協同ヤーン・テラー効果は対カチオンに対して非常に敏感であることが知られている。このことは、この系にジアリールエテン誘導体を導入した場合、磁性を光で制御できる可能性を示唆している。そこで、ジアリールエテン誘導体を対カチオンとして用いたペロブスカイト型銅化合物ACuCl_4を合成し、その磁気特性を調べた。その結果、ジアリールエテンが開環体の場合、3.4Kでフェリ磁性体になるのに対し、閉環体の場合には2Kまで常磁性体であることがわかった。次に、LDHsはイオン交換反応により容易に有機アニオンをインターカレートすることができ、その磁性は有機分子の交換により強磁性から反強磁性まで制御することができることから、Co-LDHsにジアリールエテン誘導体をアニオンとして導入した系を合成し、その磁性を調べた。この系では、固体状態でジアリールエテンが光異性化を起こしていることを確認し、この光異性化を媒介として保持力および残留磁化が光により可逆的に制御できることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)