2006 Fiscal Year Annual Research Report
合目的反応場の構築による酸素活性種を含む金属錯体の協奏的機能制御
Project/Area Number |
16074206
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 正樹 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (20091390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤波 修平 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (10115272)
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Keywords | 配位空間 / 合成化学 / トルエンモノオキシゲナーゼモデル / 二核鉄(III)ペルオキソ錯体 / 水酸化反応 / アレン水酸化 / 二核鉄(II)ペルオキソ錯体 / チロシナーゼモデル |
Research Abstract |
生体系には二核鉄中心により酸素分子を二電子還元し,生成したペルオキソ基を安定に結合して酸素運搬の役割を担うhemerythrin(Hr)がある.一方,ペルオキソ基をさらに活性化し,トルエンを水酸化するtoluene/o-xylene monooxygenase(ToMO)などがある。本研究では,これら二つの異なる機能を有するペルオキソニ核鉄(III)錯体の合成に成功した。 フェニル基を組込んだアルコキソ架橋基を持つ二核化配位子L^<Ph4>(L^<Ph4>=N,N,N',N'-tetrakis[(1-methyl-2-pheny1-4-imidazolyl)methyl]-1,3-diamino-2-propanolate)は,カルボン酸イオン架橋を持つ五配位の二核鉄(II)錯体[Fe_2(L^<Ph4>)(RC0_2)]^<2+>(R=Ph(1)and Ph_3C(2))を生成する。いずれの錯体もジクロロメタン中,-40℃で酸素分子と反応してペルオキソニ核鉄(III)錯体[Fe_2(L^<Ph4>)(RC0_2)(0_2)]^<2+>(R=Ph(oxy-1)and Ph_3C(oxy-2))を生成する。oxy-1を室温に上げると可逆的に脱酸素化し,再び-40℃に冷却するとOxy-1に戻りHrの機能モデルとなる。一方,oxy-2を室温に上げても脱酸素化せず数分で濃青色となり配位子に組込んだフェニル基の一つが位置選択的に水酸化されていることがわっかた。すなわち,このペルオキソ錯体oxy-2は,フェニル基を水酸化する能力を持つことが明らかとなった。この反応は,ペルオキソニ核鉄(III)錯体による初めてのフェニル基の水酸基反応の例であり,toluene monooxygenaseの初めてのモデル反応に成功した(J.Am.Chem.Soc.2007)。
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Research Products
(5 results)