2005 Fiscal Year Annual Research Report
特異的な配位凝集空間による"非平衡"反応場アナログの実現に関する理論的研究
Project/Area Number |
16074207
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長岡 正隆 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (50201679)
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Keywords | 自由エネルギー勾配法 / GCMC法 / 非経験的分子軌道法 / 平面波基底密度汎関数法 / スタッガード配座 / ナノ空間化学 / ミクロエントロピー / 構造最適化 |
Research Abstract |
(1)配位空間内吸着を表す分子力場の構築-量子化学計算に基づく再調製-: 多孔性配位高分子CPL-1においては、吸着した酸素分子や窒素分子などの二原子分子が、格子細孔内でペアリングすることが知られているため、ペアリング構造近傍のポテンシャル(すなわち絶対零度におけるエネルギー)力場が十分精度良く関数表現されなければならない。本年度は、ab initio電子状態計算の結果をもとに新たに酸素分子ダイマーのポテンシャル力場をLennard-Jones(LJ)12-6ポテンシャル関数の和で表現した。 (2)多孔性配位高分子CPL-1-O_2系のミクロ特性の解明: 一次元細孔をもつ多孔性配位高分子CPL-1([Cu_2(pzdc)_2pyz]_n、pzdc : pyrazine-2,3-dicarboxylate, pyz : pyrazine)を例に、細孔ポテンシャル力場を考慮した分子シミュレーションにより細孔ミクロ物性を評価した。CPL-1の結晶構造とその電子状態について、CASTEPを用いた平面波基底DFT法(計算条件:線形密度近似(LDA-CAPZ)、ウルトラソフトポテンシャル、エネルギーカットオフ300 eV)で最適化計算を実行した。その結果、格子定数a=4.850 Å、b=19.51Å、c=11.74Å、α=90.00deg、β=102.9deg、γ=90.00degという最適化構造が得られた。 (3)多孔性配位高分子CPL-1-O_2系のマクロ特性の解明: ab initio電子状態計算の計算結果をもとに再調製した力場パラメータを用いてCPL-1-O_2系のGCMCシミュレーションを実行した。計算条件は80kPa/O_2gasで、温度を70Kから200Kまで変化させた。単位格子当りの平均吸着分子数と平均吸着エネルギーとの温度依存性を示した。計算結果からは、酸素分子の吸着は、約170Kから始まり、約110Kで飽和すること(単位格子当りの飽和分子数2個)を示しており、実験事実を概ね再現する結果を得た。
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Research Products
(4 results)