2006 Fiscal Year Annual Research Report
特異的な配位凝集空間による"非平衡"反応場アナログの実現に関する理論的研究
Project/Area Number |
16074207
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長岡 正隆 名古屋大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (50201679)
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Keywords | 自由エネルギー勾配法 / GCMC法 / 分子力学 / 非経験的分子軌道法 / 平面波基底密度汎関数法 / ナノ空間化学 / ミクロエントロピー / 構造最適化 |
Research Abstract |
(1)電子状態計算を用いた多孔性配位高分子CPL-1中における小分子吸着のミクロ特性の解明: 酸素分子、アセチレン分子が各々吸着された一次元細孔をもつ多孔性配位高分子CPL-1([Cu2(pzdc)2pyz]n、pzdc : pyrazine-2,3-dicarboxylate, pyz : pyrazine)以下、CpPyと略記}の結晶構造(それぞれCpPy・202、CpPy・C2H2)について、CASTEPを用いた平面波基底DFT法(計算条件:一般化勾配密度近似(GGA/PW91)、ウルトラソフト擬ポテンシャル、エネルギーカットオフ400eV、8x2x4k点メッシュ)で構造最適化を実行した。得られた構造を全電子密度解析したところ、ゲスト分子の吸着状態の差異(電子の非局在化の有無)に関する実験事実を理論的に再現できた。 (2)配位空間内酸素分子吸着を表す分子力場を用いたCPL-1-02系の分子力学計算: CpPy中における酸素分子は格子細孔内でペアリングすることが知られているため、その構造近傍のポテンシャル(即ち絶対零度におけるエネルギー)力場が十分精度良く関数表現されなければならない。本年度、ab initio電子状態計算の結果をもとに新たに酸素分子ダイマーのポテンシャル力場を作成、ならびに酸素分子の四極子テンソルを再現するように各酸素原子に有効点電荷を割り振った。これをもとに、CpPy・202のMM的構造最適化を実行した。その結果、CpPy中における酸素分子の配向が実験事実に非常に良く合致した。 (3)GCMCシミュレーションを用いたCPL-1-02系のマクロ特性の解明: (2)の再調製した力場パラメータを用いてCpPy・02系のGCMCシミュレーションを実行した。計算条件は80kPa/02gasで、温度を70Kから200Kまで変化させた。単位格子当りの平均吸着分子数と平均吸着エネルギーとの温度依存性を調査した。その結果、酸素分子吸着は120Kから110Kの間で開始し、一気に飽和する様子が観測され、実験事実を概ね再現できた。 (1)、(2)については現在、論文投稿へ向け準備中、(3)についても近い将来、執筆を予定している。
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Research Products
(2 results)