2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16074210
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小林 達生 岡山大学, 理学部, 教授 (80205468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小手川 恒 岡山大学, 理学部, 助手 (30372684)
金道 浩一 東京大学, 物性研究所, 教授 (20205058)
美田 佳三 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (40231617)
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Keywords | 多孔性配位高分子 / 酸素分子 / 強磁場磁化過程 |
Research Abstract |
本研究では多孔性配位高分子のナノ細孔に吸着した酸素分子の異常磁性の解明を目標としている.現在までに3つの多孔性配位高分子に吸着した酸素分子において,メタ磁性的な振舞いを観測した.これらのメタ磁性は詳細は異なるものの,一段で飽和する磁化過程という意味で共通しており,S=1ハイゼンベルグモデルでは説明できない.本年度は特にこの機構解明において大きな進展があった. 酸素分子はナノ細孔中でO_2-O_2ダイマーをつくりやすい.この配列はいわゆるvan der Waals力による結合エネルギーと磁気的エネルギーを最小にする条件で決まっていると考えられる.固体酸素では基底状態は反強磁性秩序状態であるが,細孔中では低次元性のためもはや長距離秩序は期待できない.O_2-O_2ダイマーでは全スピンがS=0,1,2の3つの磁気的な状態が考えられるが,それぞれの状態でのエネルギー最小の配列は異なっている.すなわちゼロ磁場ではH型に並んだO_2がS=0の基底状態をとるが,強磁場中でS=1,2の状態が誘起されると,その配列は一般にH型とは異なってよい.すなわち磁場誘起の再配列が起きるというシナリオである.細孔中では酸素の配列はホストの静電的なポテンシャルによっても制限されるが,磁気的な相互作用と同程度のエネルギーであるため,全く再配列が起きないとは考えにくい.O_2は分子間の磁気的相互作用が静電的相互作用と同程度であり,O_2以外のシステムでは期待できない特徴である. 実験的に再配列を確認することが急がれるが,メタ磁性が起きる磁場が40T以上であるため容易ではない.今後,40T以上の強磁場中での物性測定の開発を行う必要がある.
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Research Products
(4 results)