2004 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体の自己組織化による分子認定空間の構築と情報変換
Project/Area Number |
16074211
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
君塚 信夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90186304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 和則 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (60283389)
森川 全章 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (10363384)
黒岩 敬太 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (70336006)
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Keywords | スピン転移 / オルガノゲル / 一次元錯体 / トリアゾール / 分子認識 / 自己組織化 / 超分子 / サーマルヒステリシス |
Research Abstract |
我々は、脂溶性のトリアゾール配位子(1:ラウリルオキシプロピルトリアゾール)を含む種々の遷移金属錯体を合成し、その会合特性について検討してきた。特に、Co(II)(1)3Cl2,Fe(II)(1)3Cl2はクロロホルム中においてゲル状ネットワーク構造を形成することを見出している。また、Co(II)錯体においては、配位構造変化に応じて、ゲル-溶液転移を形成し、Fe(II)錯体においては、キャストフィルムを容易に形成でき、室温以上でスピン転移(High Spin【tautomer】 Low Spin)を示す。本年度は、長鎖アルコールを添加することによって、ハロゲンアニオンと水素結合を形成し、分子認識を利用したトリアゾール錯体の超分子制御を検討した。 トリアゾール錯体Fe(II)(1)3Cl2のクロロホルム溶液に、長鎖アルコールCnH2n+1 OH (n=10,12,14)をモル比1:1となるようにそれぞれ混合した(各5mM)。これらのキャストフィルムは、20℃で528nmにLow Spin由来の吸収を与えた。Fe(II)(1)3Cl2/C10OHのスピン転移は、Fe(II)(1)3Cl2単独と同様に熱履歴を示さない.一方、Fe(II)(1)3Cl2/Cl2OH, Fe(II)(1)3Cl2/Cl 4OHは双安定性を発現した。DSC測定において、Fe(II)(1)3Cl2は20℃付近にブロードなスピン転移、また60℃付近にアルキル鎖の相転移に由来する吸熱ピークを与えた。一方Fe(II)(1)3Cl2/CnOH(n=12,14)は、低温側のスピン転移に由来する吸熱ピークが鋭くなるとともに高温にシフトし、ゲルー液相転移に由来する吸熱ピークが増加した。すなわちFe(II)(1)3Cl2とアルコール分子の相互作用は後者のアルキル鎖長に大きく依存し、アルコールのOH基とFe(II)(1)3Cl2のカウンターアニオンとの水素結合に加え、アルキル基間のvan der Waals相互作用が重要な役割を担うことが明らかとなった。このように、一次元錯体の電子状態を、分子間相互作用と分子認識を利用して制御する超分子バンドギャップ工学は、分子認識空間を利用した一次元鎖の電子状態制御システムの設計指針となりうる。
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Research Products
(7 results)