2005 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体の自己組織化による分子認識空間の構築と情報変換
Project/Area Number |
16074211
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
君塚 信夫 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (90186304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 和則 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (60283389)
森川 全章 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (10363384)
黒岩 敬太 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (70336006)
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Keywords | 自己組織化 / ナノワイヤ / 酸化還元 / トリアゾール / オルガノゲル / スピン転移 / ナノ金属錯体 |
Research Abstract |
我々は既に、脂溶性の一次元遷移金属トリアゾール錯体M(1)_3Cl_2(1:ラウリルオキシプロピルトリアゾール)が有機溶媒中に分散することを明らかにしている。また,Fe(1)_3Cl_2をクロロホルムに溶解すると、黄色(High spin)のゲル状ネットワーク構造を形成し、この試料を表面にキャストすると可逆的なスピン転移を示すフィルムを与えた。さらに、長鎖アルコールを添加すると、スピン転移にヒステリシスが誘起されることを見いだしている。本研究では、Fe(II)(1)_3Cl_2錯体が、電気化学的なFe(II)/Fe(III)の酸化還元に応答して、ゲルゾル相転移することを見いだしたので報告する。 Fe(II)(1)_3Cl_2はクロロホルムに溶解し(10mM)、ほぼ透明のゲルを形成した。このゲルに、支持電解質としてテトラプチルアンモニウムクロリドを溶解し(0.5M)、CV測定を行ったところ、Fe(II)/Fe(III)の酸化還元波の間にゲル-溶液転移に伴うと思われる大きな電位差と挿引速度依存性が確認された。 また、酸化還元に応じた光学的特性を、薄層セルによるUV-visスペクトルで評価した。Fe(II)(1)_3Cl_2錯体は、Fe(III)になると透明ゲルから褐色の溶液に変化した。この酸化還元挙動をUV-visスペクトルによって追跡すると、Ligand→FeのLMCT吸収が可逆的に増減し、Fe(II)/Fe(III)の可逆的酸化還元を確認した。これらのことから、自己組織性Fe(II)(1)_3Cl_2錯体において、Fe(II)/Fe(III)の酸化還元が相関したゲル-溶液相転移が、電気化学的に引き起こされることが明らかとなった。 このような知見は脂溶性一次元遷移金属錯体の新たな構造制御手法として開拓できるものと期待される。
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Research Products
(16 results)