2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体の自己組織化による分子認識空間の構築と情報変換
Project/Area Number |
16074211
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
君塚 信夫 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (90186304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 和則 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (60283389)
森川 全章 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (10363384)
黒岩 啓太 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (70336006)
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Keywords | スピンクロスオーバー / 蛍光 / エネルギー移動 / ナノ金属錯体 / 自己組織化 / ナノワイヤ / トリアゾール / 発色団 |
Research Abstract |
我々は既に、スピンクロスオーバー(以下SC)特性を示すFe(II)トリアゾール錯体に脂溶性の長鎖アルキル基を導入し、溶液中でのSC特性の研究を行っている。今回、9,10-ジメトキシアントラセン-2-スルホン酸イオンを対アニオンとしたFe(II)トリアゾール錯体(錯体1)を合成し、種々の有機溶媒に対する溶解性ならびにスピン状態を調べた。また対アニオンの蛍光特性とSC特性の関係も調査したので報告する。 錯体1は室温、5 unit mMでCHCl_3、CH2Cl_2溶液状態では無色であるが、CCl_4、トルエン、ベンゼン、クロロシクロヘキサン、シクロヘキサン:CHCl_3=4:1に溶解させると紫色になる。無色はHigh-spin(HS)状態、紫色はLow-spin(LS)状態であるため、SC特性の溶媒依存性が確認された。 次にSC特性(LS⇔HS)を示すシクロヘキサン:CHCl_3=4:1溶液状態と10-40℃で常にHSのCHCl_3溶液状態での蛍光特性に対するSC特性の影響をUV-Visスペクトル及び蛍光スペクトルから調べた。結果、シクロヘキサン:CHCl_3=4:1溶液状態ではLSのd-d遷移(=max=535nm)の増減が観察され、低温(LS)では蛍光は大きく消光されていたが、温度の上昇(LS→HS)に伴い蛍光強度は増加し、可逆的な変化が観察された。一方、CHCl_3溶液状態では、常にHSであり、温度の上昇に伴い、蛍光強度は単調に減少するのみであった。このように9,10-ジメトキシアントラセン-2-スルホン酸イオンとして導入し、一次元Fe(II)トリアゾール錯体表面に集積化させることによって発色団の光緩和過程をスピンクロスオーバー特性と連動して制御することに成功した。
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Research Products
(10 results)