Research Abstract |
錯体分子を基本ユニットとした固体表面上でのボトムアップ法による分子ナノアレイのナノ構造の構築およびそれらの構造を利用した機能性の発現を目的にこれまでに1.表面での縦方向における積層膜でのコンビナトリアル化学的手法による電子移動の制御、2.横方向の分子配列制御として、パターン基板上での分子ナノワイヤリングについて検討してきた。今年度は、表面での分子配向の制御による表面での分極をコントロールした分子メモリ機能およびパターン基板への分子の選択吸着とその基板を利用したDNAナノ配線について検討した。基板上での分子の配向を制御するためにアンカー基として4個のホスホン酸基をもつ三座配位子XPをもつ一連の金属錯体ユニット、単核錯体[Ru(XP)_2],[Ru(XP)(tpy)],[Ru(XP)(btpb)],および二核錯体[M_2(XP)_2(btpb)](M=Ru or Os ; btpb=1,4-ビス(2,2':6',2'-ターピリジル)ベンゼン,ttpb=1,3,5-トリス(2,2':6',2'-ターピリジル)ベンゼン)を合成し,電位パルスによる書き込みと光過渡電流による読み取りを利用した分子メモリ機能を新たに見いだした。さらに,[Ru(XP)(tpy-R)]型錯体の置換基RにDNA二本鎖を捕捉できるDNAインターカレータ部位としてアクリジン基を持たせて、Au/SiO_2パターン基板上のAuパターン上に錯体を選択的に吸着させる方法を見いだした。まず,SiO_2上にはオクチルホスホン酸を選択に自己組織化させ,次いで,金パターン上にメルカプトブチルホスホン酸を修飾し,Zrイオンとの錯形成により[Ru(XP)(tpy-R)]を修飾した。TOF-SIMSイメージングで分子量940にみられるフラグメントが[Ru(XP)(tpy-R)]の一部であることから選択的吸着を確認した。この基板を用いて,基板の垂直引き上げ法により溶液中に溶けたDNAを金電極間に基板上に捕捉できることがわかった。また,Au端子間に捕捉したDNAにPdナノ微粒子を被覆した後,Cuの無電解めっきを行なうことも可能となった。
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