2005 Fiscal Year Annual Research Report
光水素発生デバイスにおけるエネルギー制御空間の開拓
Project/Area Number |
16074216
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
酒井 健 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (30235105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正岡 重行 九州大学, 大学院理学研究院, 助手 (20404048)
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Keywords | 光水素発生触媒 / 白金錯体 / 水素エネルギー / ルテニウム錯体 / 光増感 / 電荷分離 / 分子デバイス / 多核金属錯体 |
Research Abstract |
水素は燃料電池との組み合わせにより、燃焼しても汚染物質を排出して空気を汚すことの無い最も有望な次世代クリーンエネルギーとして期待されている。しかし現在のところ、水素燃料を作り出すコストは水素燃料が生み出すエネルギーの価値を上回っており、実用化の域には程遠いのが現状である。本研究では、光増感能を有する[Ru(bpy)_3]^<2+>部位と、水素発生触媒能を有する白金錯体部位とを共有結合で連結することにより、単分子で光水素発生触媒能を有する多核錯体の合成を行った。特に、(a)効率よくプロトンを水素に還元する触媒反応空間の構築、及び(b)光水素発生デバイスにおける電子伝達空間の制御を目的として研究を行った。 前者(a)について、これまでに、触媒中心である白金錯体が、(1)単核錯体よりも二核錯体の方が高活性、(2)二核錯体の場合、白金間距離が短いほど高活性、(3)配位子の配位子場が強いほど高活性、(4)平面性の高い配位子を持つ錯体の方が高活性、等の知見を得るに至っている。そのため、白金錯体のd_z2軌道が触媒反応に関与していると予想し、一連の白金錯体に対してd_z2軌道のエネルギーレベルをDFT計算により評価した。次いで、高い触媒作用が期待される白金錯体を設計、合成し、その光水素発生能を実験的に検証した。 他方、(b)光水素発生デバイスにおける電子伝達空間の制御については、様々な架橋配位子を有するRu(II)Pt(II)二核錯体を合成し、その触媒活性の変動や光触媒機構の違いについて詳細な検討を行った。特に、架橋配位子の共役・非共役構造の違いは光水素発生挙動に大きな影響を与えることを明らかとした。
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Research Products
(6 results)