2004 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体ナノ空間に閉じ込めた金クラスターの触媒作用
Project/Area Number |
16074218
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
春田 正毅 独立行政法人産業技術総合研究所, 評価部・首席評価役 (10357824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪田 年 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, グループ長 (20357536)
伊達 正和 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, 研究員 (80288555)
秋田 知樹 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 研究員 (80356344)
前田 泰 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, 研究員 (30357983)
藤谷 忠博 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, グループ長 (50190054)
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Keywords | 金 / クースター / ナノ粒子 / 触媒化学 / 表面科学 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
初年度は主に、金ナノ粒子を高分散で担持するために我々が開発した析出沈殿法によって、既成金属錯体への金クラスターの固定化を検討した。金属錯体は、京都大学より提供されたCPL-2を用い、塩化金酸を金の出発物質とした。沈殿後の水溶液中への金成分の残留は確認されなかったことから、金の前駆体である水酸化金イオンは、錯体中の銅イオンと電気的に引き合うことによって、確実に析出が起きたことになる。錯体の分解よりも低い温度(453K)で沈殿を焼成したところ、金が2nm以下の非常に小さな粒子として分散することが、電子顕微鏡によって確認された。これは従来の金-酸化物系では容易に起こる金の凝集が、金属錯体を用いることによって抑制されたことを示している。しかし金は錯体の外側にブドウの房状となって集合していたので、次年度以降は錯体内部へ確実に金を閉じ込めるべく、固定化方法をさらに検討する。 一方、金の触媒作用については、金をナノサイズにすることのみが重要で担体は物理的な担持を行っているにすぎないという説と、担体も化学的に重要な役割を果たしているという説がある。そこで今回の金属錯体を含む様々な担体に担持された金の、CO酸化反応に対する活性を比較したところ、担体からの酸素の供給能力の順序に従うことが分かった(TiO_2(半導性酸化物)>Al_2O_3>SiO_2(絶縁性酸化物)>CPL-2(非酸化物))。さらに担体酸化物の影響を受けにくい水素酸化反応に対しても、金属錯体に担持した金は活性を示さなかった。これらの知見は、金触媒の活性発現機構に関する議論において重要である。
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