2005 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体ナノ空間に閉じ込めた金クラスターの触媒作用
Project/Area Number |
16074218
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
春田 正毅 首都大学東京, 都市環境学部材料化学コース, 教授 (10357824)
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Keywords | 金クラスター / 金ナノ粒子 / 高分子微粒子 / 析出還元法 / 触媒 / グルコースの酸素酸化 / 過酸化水素分解 |
Research Abstract |
本研究では、金をクラスター(直径2nm以下、原子数300個以内)として分散・固定化することによって、触媒特性が寸法や立体構造によって劇的に変化する現象を探究することを目的としている。先ず、金属錯体多孔質固体が持つ規則的なナノ空間の中に、金をクラスターとして閉じ込めることを試みたが、原料となる金錯イオンより大きな細孔を有するものは種類が極めて少なく、かつ触媒活性を測定するのに必要な量(100mg以上)を合成することは困難であった。 そこで、比較的入手しやすい高分子微粒子を、金化合物と還元剤とを溶解した水溶液に懸濁し、高分子表面上でだけAu(0)にまで析出還元する方法を新たに開発した。金錯イオンとして電荷の異なるAuCl_4^-とAu(ethylenediamine)_2^<2+>、還元剤としては速度が大きく保護コロイドの作用の無いNaBH_4と速度が穏やかで保護コロイド作用のあるクエン酸三ナトリウム、金属イオンに対して静電的・配位的相互作用を有するPVP(polyN-vinyl-2-pyrolidone)の添加の有無について最適の組み合わせを探した。ポリ塩化ビニル微粒子(200-400nm)およびポリメタクリル酸メチル微粒子(150nm)の場合、Au(ethylenediamine)_2^<2+>をPVP共存下NaBH_4で還元する方法が有効であり、その表面に直径2nm前後の金クラスターを表面にほぼ均一に分散・固定化することができた。 上記の試料は、金ナノ粒子の粒子径、形状等によって表面プラズモン吸収による様々な発色をするが、金の粒子径が2nm以下のクラスターになると発色は無く、白色となる。触媒活性については、水溶液中での過酸化水素分解とグルコースの酸素酸化によるグルコン酸の生成反応に対して、Auナノ粒子を担持した活性炭触媒に比べ、1/10-1/100の活性しか示さなかった。しかし、高分子担体では官能基を選択することにより反応場を自在に調整できることが特徴であるので、この点を生かした研究を今後展開する。
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Research Products
(8 results)