2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子導入されたナノ機能空間の電子密度レベルでの構造
Project/Area Number |
16074220
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
高田 昌樹 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門I・構造物性Iグループ, グループリーダー 主席研究員 (60197100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 佳基 大阪女子大学, 理学部, 講師 (50254371)
加藤 健一 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門I・動的構造チーム, 研究員 (90344390)
安達 隆文 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門I・極限構造チーム, 研究員 (80372142)
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Keywords | 電子密度 / マキシマムエントロピー法 / 放射光 / 粉末X線回折 / 精密構造解析 / 集積型金属錯体 / 水素 / 気体吸着 |
Research Abstract |
本年度は、集積型錯体CPL-1のナノ細孔に水素を吸着させ、その吸着の様子を直接観察する事に成功した。水素はX線散乱能が小さいため,これまでX線を使った水素の位置決定は難しいとされてきたが,今回私たちは,SPring-8の高輝度放射光とMEMを用いて世界で初めてナノ細孔に吸着した水素分子を観測することに成功した。ガス吸着状態での放射光粉末回折データのその場測定はSPring-8の粉末結晶構造解析ビー厶ラインBLO2B2において,大型デバイシェラーカメラにガス導入システムを組み合わせて行った。吸着水素分子は細孔の角に位置する銅原子と結合したカルボン酸に属する酸素原子の近くに存在することがわかった。また,CPL-1においては細孔のくぼみの大きさが水素分子の大きさと非常にうまくフィットしていて,水素分子は細孔壁からの引力を大変効果的に受けていると考えられる。 本研究では水素の占有率が0.3という吸着量がかなり少ない状態での構造解析により吸着初期段階の構造情報を得ることができた。つまり,水素分子が始めに細孔のどこに吸着されるかという大変重要な情報を始めて明らかにすることができた。これは水素貯蔵材料としての多孔性配位高分子を設計していく上での正に指針を与え得るものと考えられる。 本研究成果は、Angew.Chem.Int.Ed.にVery Important Paperとして掲載され、表紙絵も飾った。また、日経産業新聞、日刊工業新聞にも2004年11月29日付の紙面にて、成果の報道が行われた。
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Research Products
(6 results)