Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 佳基 大阪府立大学, 大学院・理学系研究科・物理科学専攻, 講師 (50254371)
加藤 健一 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門・動的構造チーム, 研究員 (90344390)
大石 泰生 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門・極限構造チーム, チームリーダー主幹研究員 (20344400)
田中 宏志 島根大学, 総合理工学部・物質科学科, 助教授 (10284019)
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Research Abstract |
1.本年度は,アセチレンの特異的選択吸着能を持つ多孔性配位高分子の電子密度レベルでの結晶構造を明らかにした.特定の気体を吸着・濃縮する材料および技術開発は昨今のエネルギー問題や環境問題の解決のために重要視されている.京大北川進グループは,多孔性配位高分子のナノ細孔内に,爆発性のアセチレンガスを選択的に安定かつ超高密度に濃縮することに成功しているが、アセチレンがなぜこのように特異的に高密度で細孔中に存在できるかを明らかにするため,SPring-8の放射光を用いて粉末回折データのガス吸着その場測定を行い,MEM/Rietveld法により精密構造解析を行った.その結果,MEM電子密度分布には,アセチレン分子が細孔壁の非結合酸素原子と水素結合を形成しながら,両端からがっちりと捉えられている様子が非常にクリアに視覚化された.この結合により,アセチレン分子は異常な選択的吸着能を示し,また,細孔内で間隔を隔てて整列することにより安定かつ超高密度な濃縮が実現されていると考えられる.以上のような電子密度までも含めた精緻な構造情報は,細孔内に吸着活性点を整列させることにより作られる新しいナノ機能空間の設計に重要な知見を与えたと言える.この成果はイギリス科学雑誌Natureに掲載された.また,プレス発表を行い,日経産業新聞ほか4紙に掲載された.本研究はA01班内の北川進グループ,小林達生グループと共同で進めている. 2.班間では,A04班九大北川宏グループとPd/Ptコアシェル型ナノ粒子の水素吸蔵・放出特性について共同研究を進めている.ガス導入システムを用いた粉末回折データのその場測定より,コアシェル型から固溶体型への変化が水素放出過程で起こることがわかった. 3.班外では,東工大細野秀雄グループと共同で,ケージ構造を持つ透明電子活性材料C12A7およびケージ包摂イオンの構造解析を進めている.
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