2004 Fiscal Year Annual Research Report
希土類‐鉄系パノスコピック組織体の創製とGHz帯域対応電磁波吸収能の高度発現
Project/Area Number |
16080202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉本 諭 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10171175)
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Keywords | 希土類-鉄系化合物 / 電磁波吸収体 / 不均化反応 / 共鳴周波数 / 反射損失 / 透磁率 / 微細化 / fd積 |
Research Abstract |
希土類-鉄系化合物の不均化処理により得られるFe/希土類化合物組織の電磁波吸収体用材料としての応用の可能性について検討し、以下の結果を得た。 1.10μm程度に微粉砕したSm2Fe17粉末に対する373〜573Kの大気中熱処理、63〜150μm程度に粗粉砕したSm2Fe17粉末を、873Kで水素中または923Kで窒素中熱処理することによって不均化反応が生じ、α-Fe相とSm-X(X=O,H,N)化合物相の2相からなる粉末が得られた。さらに水素中、窒素中で不均化反応させた試料に対し大気中酸化させることによりα-Fe相とSmO相からなる粉末が得られた。 2.923Kで窒素中不均化処理後、523Kで大気中酸化処理した不均化処理粉末を用い、充填率80mass%で作製した樹脂複合体は、3.10GHzにおいて最大の磁気損失μr"MAX=1.62を示した。この値は、Feの比率を等価にして作製したカルボニル鉄粉末を用いた樹脂複合体における値よりも50%以上高い。更に、本試料では、1.20〜2.30GHzにおいてRLが-20dB以下となり、十分な電磁波吸収を示した。このときの整合厚さは7.7〜4.2mmであり、特に5.68mmの時に整合周波数1.66GHzで反射損失-57dBという最大吸収を示した。fd積も9.4GHz・mmとなり、大気、水素、窒素という3種類のガスによる不均化処理を用いた粉末作製法の中で最小の値となった。 3.923Kで窒素中不均化処理した粉末をTEM観察した結果、10-50nmのサイズのα-Fe相が観察された。これにより、渦電流による励起磁化の低下はほぼないと考えられ、透磁率低下への影響もないといえる。 以上より、Sm2Fe17化合物を不均化処理および酸化処理することにより得られるサブマイクロオーダーのα-Fe/Sm酸化物2相組織を有する粉末の樹脂複合体は1〜3GHzの帯域で電磁波吸収体として機能する。
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Research Products
(2 results)