2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16091205
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 利章 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00116104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 一光 大阪大学, 人間科学研究科, 助教授 (60260642)
木村 貴彦 大阪大学, 人間科学研究科, 助手 (80379221)
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Keywords | 注意 / 加齢 / 抑制機能 / 質問紙 |
Research Abstract |
高齢者の視覚的注意機能,特に選択的注意について注目し,抑制機能に関する加齢変化が検討された.特に情報の呈示方法が高齢者の行動に与える影響に注目し,高齢者における問題を解決するためには情報の呈示段階から考慮する必要性について検討された.具体的には,課題遂行とは無関係に出現する妨害刺激を無視しながら,正確に標的刺激を検出できるかどうかについて調べた.高齢者の実験結果から,妨害刺激の出現によって標的位置における感度が低下することが示された.つまり,妨害刺激によって外発的に注意が捕捉され,標的位置に注意を集中することが困難になると考えられる.この結果は,妨害刺激を無視しなければならないような情報呈示場面において,高齢者は正確に素早く判断することが難しいことを示唆している.さらに,抑制機能の測定に加えて,作業記憶の測定と注意機能についての質問紙調査を行い,高齢者における認知機能の客観的評価と主観的評価の関連性が検討された. これらの研究によって,高齢者において"必要な情報を選択し不必要な情報を抑制する"という注意制御機能に低下が見られることと,このような注意制御機能は他の課題遂行にも関係性が見られること,そして,若年者が機能低下を主観的に意識できるのに対して,高齢者は自己の状態を意識することができないこと,という結果が示された.これら3つの結果を統合的に解釈できるものとして,中央実行系の機能低下が指摘された. すなわち,上記の結果をまとめると,(1)高齢者の視覚的注意制御課題及びRSTに成績低下が見られ,その結果に関連性があること,(2)それらの客観的評価の結果とNASA-TLXによる心的負担の状態や質問紙による主観的評価の内容が高齢者で一致しないことという結果を得た,これらの課題要件が異なった事態における結果を結びつけることとして,高齢者における中央実行系機能の低下が背景にあると考えられる.
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Research Products
(4 results)