Research Abstract |
本研究では,高齢者の知覚・認知・運動特性を考慮した表示,入力,操作システムの開発を行った。まず,自動車用のコンソールボックス開閉時の作業負担を高齢者と若年者で比較し,高齢者にとって使い易いコンソールボックスについて考察を加えながら,実際にシステムの開発を行った。本研究で用いたEMGおよび動作解析手法が,より負担の少ないコンソール開発に寄与できた。また,高齢者にとってさらに使い易いコンソールボックスの必要要件が明らかになった。第二番目に,自動車用のディスプレイの背景色と文字の大きさが,高齢者にどのような影響を与えるかについて,若年者との比較実験の結果から,考察を加え,高齢者にとって読みやすい背景色と文字の大きさについての提案を行った。高齢者に関しては,作業遂行時間に対する背景色と文字の大きさの交互作用が明らかになり,特に青の背景色で文字が小さい場合は表示にふさわしくないことが明らかになり,高齢者のための自動車用のディスプレイの設計指針が明らかになった。第三番目に,白色LEDに対する赤,青,黄,緑LEDの高齢者と若年者での等明るさ感覚の評価データを比視感度の手法を用いて収集し,高齢者のためのLED実験システムを構築し,LED表示の条件について考察を加えた。最後に,高齢者のための入力手段として,視線入力システムの開発のための基本仕様(視線入力システムのポイント精度を同定するためのシステム仕様)の策定を行い,次年度以降に操作性評価実験が実施可能なように,実験計画を策定した。
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