2006 Fiscal Year Annual Research Report
地域研究を基盤としたアフリカ型農村開発に関する総合的研究
Project/Area Number |
16101009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
掛谷 誠 京都大学, 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (30020142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 愼太郎 京都大学, 大学院地球環境学堂, 教授 (20026602)
北畠 直文 京都大学, 大学院農学研究科, 教授 (30135610)
伊谷 樹一 京都大学, 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (20232382)
樋口 浩和 京都大学, 大学院農学研究科, 助手 (50303871)
大山 修一 首都大学東京, 大学院都市環境科学研究科, 助手 (00322347)
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Keywords | アフリカ型農村開発 / タンザニア / 地域研究 / 乾燥疎開林 / 実態把握 / 在来性 / グローバル化 |
Research Abstract |
18年度は、前年度に引き続き4ヵ所の重点調査地域を中心に、各地域の実態把握を深めるとともに、特にタンザニアのムビンガ県とボジ県において内発的な発展に向けた実践活動にも力を入れた。 タンザニア・ムビンガ県では、協同組合が崩壊した後の経済的混沌のなかで創出された住民の社会的ネットワークが、伝統的な相互扶助機能を内包しながら、価値や情報を共有する組織として機能しはじめた。また環境問題については、住民の自発的な植林をモニタリングするとともに、環境劣化の問題をより広い枠組みで捉え、河川の上流域と下流域の住民がそれぞれの環境問題を相互に理解するための取り組みにも着手した。 タンザニア・ウルグル山地の変化に富んだ生態環境は、地域内に多様な作物変異を生み出してきた。住民は、屋敷地でバナナや香辛料などの商品作物を生産して生計を支える一方、畑の収穫物を村落間で交換することで、痩せた山岳地帯での低い生産性や農産物の季節的な地域格差を補っている。こうした地域内の交換システムが発達することで、各世帯は生態環境の多様性を間接的に利用し、全体的には土地が有効活用されており、農村開発におけるローカルな市場の重要性が明らかになった。 タンザニア・ボジ県では、住民セミナーを開催し、これまでの実態調査の結果を住民に説明することで分析の妥当性を確認するとともに、無規制な水田開発が牧草地や森林の消失に拍車をかけ、牛耕という稲作の根幹が揺らぎはじめている実態を科学的なデータをまじえながら指摘した。このセミナーを受けて住民のあいだで活動グループが組織され、環境保全を前提とした地域開発の活動が構想され、試験的な取り組みがはじまっている。 ザンビアのムピカ県では、政府の大規模な農地開発によって、焼畑を生業の基盤としてきた農民は生存戦略の抜本的な改変を余儀なくされた。しかし、常畑の農耕体系が定着し、地域社会に内在化していくまでには、住民が主体的に関わる多くの試行錯誤を要する実態が明らかになった。
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Research Products
(13 results)