2005 Fiscal Year Annual Research Report
ニューエコノミーと労働・家族・国家-日・米・欧の比較ジェンダー分析-
Project/Area Number |
16101010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大沢 真理 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (50143524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 和子 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (60217015)
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Keywords | ジェンダー / ニュー・エコノミー / グローバル化 / 規制緩和 / 再規制化 / 福祉国家 / 国際研究者交流 / 多国籍 |
Research Abstract |
本年度前半は、研究成果の第1次出版と第2次調査研究の設計がテーマとなり、国際的な学会や研究集会において、分析枠組および第1次的な分析結果の報告を行った。主な報告機会は、2005年6月の第9回世界女性学大会(ソウル)で招待講演、7月のEU Asia Link Workshop(バンコク)での基調講演(いずれも研究代表者)。また8月末から9月初めにイギリスにおいて、海外共同研究者との集中研究会を行った。年度後半には、イギリス・ドイツ・アメリカにおいて、知識経済に関する統計分析と、高齢者ケアサービスに関する実地調査を遂行した。この間、9月前半にはイギリス・イタリアで社会的経済・社会的企業について現地調査、1月前半にはアセアンの文脈における経済グローバル化と社会的排除について、タイ・カンボジアで国連関係者等の有識者インタビューを実施した。 本研究は、グローバル化、ニュー・エコノミー、そしてジェンダーが交差する様を解明しようとする。これらは、現代社会を考察する上で「鍵」となる3大課題であり、3課題のintersectionの性質は、種々の論争で焦点になってきた。本研究は、4つの研究領域において有力な主張に挑戦している。第一に「労使関係と多様な資本主義」に対して、ジェンダー視点から批判的に再検討する。第二に「ジェンダー研究」に対しては比較論争を発展させる。第三に「ニュー・エコノミー」論に対して、従来の概念化がジェンダーを顧慮しなかうた点を問い直し、新たな概念化を行う。第四に、「グローバル化」研究に対して、規制緩和を強調する通説に挑戦する。 総じてジェンダー視点によりグローバル化の複合的な動態に照明を当てる。特筆すべきは、経済グローバル化のもとで新興国・途上国の生活保障システムに生じている動態を、「社会的排除」アプローチにより射程に入れ、日米欧の比較分析を格段に進化させつつある点である。
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Research Products
(6 results)