2006 Fiscal Year Annual Research Report
ニューエコノミーと労働・家族・国家-日・米・欧の比較ジェンダー分析-
Project/Area Number |
16101010
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大沢 真理 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (50143524)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 和子 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (60217015)
|
Keywords | ジェンダー / ニュー・エコノミー / グローバル化 / 規制緩和 / 再規制化 / 福祉国家 / 国際研究者交流 / 多国籍 |
Research Abstract |
本年度前半は、アメリカ社会学会大会(ASA)に重ねて総括研究会を行い、ASAで本研究としての分科会を開催することを節目とした(招待Session 336)。総括研究会では、研究代表者がリードする生活保障システムの比較分析をふまえて、報告と討論が行われた。高齢者ケア労働の比較調査研究については、日本での高齢者ケア事業所のアンケート調査および訪問インタビュー調査を遂行すること、また17年度の独米での調査研究の結果を研究グループで共有し、アカデミックな意味で陶冶して、広く発信することを課題とした。年度後半は、日本での高齢者ケア労働の実地調査を進めるとともに、雇用レジームの比較ジェンダー分析にかんする論文集の最終的な編集に努めた。高齢者ケア労働の比較研究では、「革新的な」ケア事業所に焦点を当てて経営組織と人的資源開発の観点から、日本を参照基準とする主要国の比較を行った。ケア労働者を高度な情報処理を求められる「知識労働者」として捉える本研究のアプローチにもとづき、高齢者ケアをめぐる日独米の法律・規制、ケアサービス市場のあり方などの大きな差異にもかかわらず、革新的な事業所には、情報・知識や意思決定の共有、情報の効率的な配分(リスク管理)などの実態、および共有や配分を円滑にする組織編成などの面で、共通点があることが見出された。本研究はまた当初の研究計画を進化させ、従来の福祉国家や福祉レジームにかえて、生活保障システムを比較考察の対象に据えることを提唱し、生活保障システムの機能不全ないし逆機能の所産として「社会的排除」の概念を取り入れた。そして、日本を典型とする生活保障システムの類型を設定した。さらに生活保障に寄与する制度・慣行として、社会的経済ないしサードセクターを明示的に組み込んだ。本研究で琢磨された枠組みによる国際比較を通じて、日本の生活保障システムの特徴が明らかにされた。
|
Research Products
(8 results)