2006 Fiscal Year Annual Research Report
局在mRNAと誘導的細胞間相互作用によるホヤ胚発生の制御
Project/Area Number |
16107005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西田 宏記 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (60192689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊野 岳 大阪大学, 大学院理学研究科, 助手 (80372605)
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Keywords | ホヤ / 胚発生 / 胚誘導 / 局在mRNA / 発生・分化 / 脊索 / 母性mRNA / 発生運命 |
Research Abstract |
本研究では、ホヤの初期発生過程に関して卵内で局在している因子と誘導的細胞間相互作用の二つのテーマに関して研究を行うことを目的としている。 本年度は、誘導的細胞間相互作用に関して重要な成果を得た。ホヤ胚発生における脊索誘導では、誘導が起こる時点ではいまだ応答細胞の発生運命が一つに限定されていないが、内胚葉からのFGFの作用により、脊索/神経索細胞の発生運命を持つ親細胞は非対称分裂を行い、内胚葉と接する側に位置する娘細胞が脊索細胞に、それとは反対側の前方外胚葉と接する娘細胞は神経索細胞に非対称分裂を行うと考えられている。今回は、この過程でFGFが作用する方向が脊索/神経索細胞の非対称分裂の方向性を決定するのに重要であるか否かを調べた。意外なことに、単に前方外胚葉細胞を除去するだけで、神経索細胞のかわりに脊索細胞が形成されることがわかり、さらに、前方外胚葉が接する側からいくらFGFを作用させても、前方外胚葉が存在する限り、神経索系列に異所的に脊索を作ることは難しいことがわかった。したがって、脊索誘導において脊索細胞の位置が決定される際に、FGFが作用する方向に加えて、前方外胚葉からの抑制シグナルにより、前方の娘細胞が脊索にならないように保証していることが示唆された。さらに解析を進めた結果、この前方外胚葉からの抑制シグナルは、FoxAの発現を神経索系列で抑制していることがわかった。昨年度に明らかにした事実より、脊索の形成には内在性応答能因子であるFoxA/ZicNと誘導シグナルである内胚葉由来のFGFが必須であることがわかっているが、前方外胚葉からのシグナルは内在性応答能因子のひとつであるFoxAの発現を抑制することで脊索誘導を抑制していることが解った。
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Research Products
(5 results)