2004 Fiscal Year Annual Research Report
気候変化と人間活動に応答する海洋生態系の歴史的変遷と将来予測
Project/Area Number |
16108002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岸 道郎 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (90214767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 泰憲 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (30196133)
齊藤 誠一 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (70250503)
松田 裕之 横浜国立大学, 環境情報研究院, 教授 (70190478)
木村 伸吾 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (90202043)
青木 一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40114350)
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Keywords | 多獲性魚類 / サンマ / ニホンウナギ / ウトウ / 生態系モデル / 数理モデル / OPL |
Research Abstract |
日本周辺の多獲性魚類の生態を種類ごとに明らかにする作業を、将来のモデル化に向けて着手した。また、すでに多くの知見が得られた魚種についてはモデルを作製し、気候変動が資源変動に及ぼす影響を検討している。ここではサンマとウナギの結果、海鳥の補食について述べる。 サンマでは生物エネルギーモデルと3次元-物理生態系モデルを結合させ、ENSOとの関係について、サンマの成長率はエルニーニョの年に高く、ラニーニャの年に低くなる傾向が見られた。この理由は主に、モデルにおける混合域と親潮域における動物プランクトン量の経年変化によるもののように思われる。数十年変化について、サンマの成長率は1976/77年の太平洋気候レジームシフトの後に高くなる傾向にあり、この理由は1976/77年のレジームシフト後に混合域におけるモデルの動物プランクトン量が多くなっていることによるものと思われ、この動物プランクトン量の変化はPacific Decadal Oscillation(PDO)とよい相関がある。またモデルの結果と観測結果にもよい相関がみられた ニホンウナギでは、産卵回遊に対する北赤道海流域の海洋構造の影響に関する研究を行っており、この海域における経年的な海洋構造の変動がニホンウナギの資源量変動に対して大きな役割を担っていることを明らかにしつつある。 また、海鳥や海獣が魚類資源に与える影響について日本海を中心に調査した。ウトウが繁殖期間中に消費する餌生物資源量を推定したところ、カタクチイワシ13110t、オキアミ8262t、イカナゴ0+5870t、イカナゴ1+3914t、ホッケ3914t、イカ3522tであった。ウトウは採餌範囲内の海域において対馬暖流系群のカタクチイワシの推定全資源量(約24万t)の約5.5%を消費していると推定された。 統合する理論として、捕食者・被食者の相互作用が最大持続生産量に及ぼす影響を数理モデルを用いて解析し、従来のMSY理論の問題点を説いた。 ○備品として購入したOptical Plankton Counter-1リットルが実際に納品されたのが昨年11月24日と予定よりも遅れたため(輸入品のための到着遅れ)、現段階では設置とテスト測定を行ったのみであるが、おおむね良好な測定結果が得られている。次年度からより詳細な解析行い、北太平洋の大型動物プランクトンの生態の解析を行う。
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Research Products
(4 results)