2006 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質感覚野における高次領野からの逆行性入力の機能とその分子・細胞機構
Project/Area Number |
16200023
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
澁木 克栄 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40146163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 雅治 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (80153310)
菱田 竜一 新潟大学, 脳研究所, 助手 (90313551)
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Keywords | 視覚野 / 眼優位性可塑性 / 経頭蓋イメージング / フラビン蛋白蛍光 / 斜視 / 体性感覚野 / マウス / プリズム眼鏡 |
Research Abstract |
大脳皮質の経験依存性可塑性の中でも、単眼遮蔽によって引き起こされる視覚野の眼優位可塑性の分子・細胞メカニズムを解明する研究は種々の遺伝子改変マウスを用いて精力的に行われている。一方、視覚野に可塑性を引き起こす操作として、単眼遮蔽のほかに斜視がある。しかし、マウスの斜視を作る外科手術は困難なので、斜視に伴うマウス視覚野可塑性の解析は殆どなされていない。そこでプリズム眼鏡を作製し、マウスに約30°の光路変化をおこす片眼プリズムを装着させ、斜視と同じような視覚刺激による可塑的変化について解析した。生後1ヶ月のマウスにプリズム眼鏡を1週間装着させ、眼鏡を取り去った後に、プリズム装着眼と健常眼を介する視覚野応答を経頭蓋フラビン蛋白蛍光イメージングによって測定した。その結果、プリズム装着眼の視覚野応答が対側・同側の両眼視領域で抑圧され、さらに単眼視領域の応答も抑圧されていることが判った。 この現象のメカニズムについて我々は三つの仮説を考えた。第一にプリズムによって装着眼の視界がぼけ、単眼遮蔽と同様の眼優位性可塑性が生じた可能性がある。しかし単眼遮蔽の場合は単眼視領域の抑圧は見られないので、この可能性は否定される。第二に両眼視領域への入力が左右で食い違ったので、プリズム装着眼の応答が抑圧されたと考えられる。しかし、プリズムの代わりにミラーを装着させ、両眼視領域への入力のみを大きく食い違わせた場合には抑圧は認められなかったので、この可能性も否定される。第三に空間認知におけるヒゲ入力と視覚入力が、プリズムによって食い違ったために視覚野応答が抑圧されたという仮説がある。この可能性を検討するため、予めヒゲを切ったマウスにプリズムを装着させたところ、視覚野応答の抑圧は消失した。以上から、第三の仮説、即ち空間認知におけるヒゲ入力と視覚入力が食い違うと視覚野応答が抑圧されるという可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Book] Coupling of brain function and metabolism : Endogenous flavoprotein fluorescence imaging of neural activities by local changes in energy metabolism. In Handbook of Neurochemistry & Molecular Neurobiology. 3rd Edition, Vol.5,Neural Energy Utilization(Gibson G and Dienel G, ed).2007
Author(s)
Shibuki, K., Hishida, R., Kitaura, H., Takahashi, K., Tohmi, M.
Total Pages
322-342
Publisher
Springer, New York