2004 Fiscal Year Annual Research Report
ガスハイドレートの地球環境へのインパクトに関する総合的研究
Project/Area Number |
16201002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 良 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40011762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻原 成騎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (50214044)
徳山 英一 東京大学, 海洋研究所, 教授 (10107451)
芦 寿一郎 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (40251409)
町山 栄章 海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (00344284)
大出 茂 琉球大学, 理学部, 教授 (20117568)
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Keywords | 富山湾 / メタンプリューム / ポックマーク / メタンハイドレート / 硫酸還元 / 熱分解起源 / チンハイ湖 / 氷期-間氷期 |
Research Abstract |
計画調書に提案した予定の調査が以下のようにほぼ完全に履行できた。 (1)日本海東縁の富山湾〜佐渡沖に置けるガスハイドレートの調査。 富山湾〜佐渡沖に巨大なポックマークが発見されメタンガスの湧出が予想されていた。この海域での海洋調査を実行し、(1)メタンガスと思われるガスプリュームを多数発見、(2)メタンプリューム付近からガスハイドレートの塊を回収した。ラボでの同位体分析によりガスハイドレートは熱分解起源ガスに由来することを明らかにした。これは日本周辺海域からは最初の発見である。(3)5〜6mのピストンコアにより堆積物を回収し、搾り取った間隙水の化学組成を系統的に分析した。その結果、本海域のメタンのフラックスが他に例を見ないほど高いことを明らかにした。(4)メタンプリュームが確認された海域およびそのような異常は見いだされない海域で海水を海底付近〜海面の間でほぼ100m間隔で回収した。船上でのガス分析により海水のメタン濃度は異常に高い(5ナノモル〜180ナノモル)ことが分かった。(5)海水のメタン濃度異常で特記すべき事は、水深200m付近のピークである。本海域の深層、中層水は大変低温(0.2℃)であり、メタンの気泡は存在しえず、メタンハイドレートに変わるはずである。エコーで確認したガスプリュームは実は、メタンハイドレートが個体で水中を浮かび上がるプリュームの可能性がある。水温は200m付近で暖かくなる。このゾーンにハイドレートが達すると分解を始める。200m付近のメタン濃度異常は、個体で上昇したメタンが分解して多量のガスを周囲に供給したためと説明できる。 (2)中国大陸にハイドレートの分解イベントの調査。 氷期-間氷期の時代に、大陸や海洋に分布したメタンハイドレートが分解するイベントがあった可能性がある。中国チベット高原の湖(チンハイ湖)でピストンコアリングを行い、堆積物の同位体分析を行った。今回はコアが短かったためハイドレートイベントを検出できなかった。
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