2007 Fiscal Year Annual Research Report
瀬戸内海における海砂生態系の機能とその破壊からの回復過程に関する研究
Project/Area Number |
16201004
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
武岡 英隆 Ehime University, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (90116947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井内 美郎 早稲田大学, 人間科学学術院人間科学部, 教授 (00294786)
大森 浩二 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (10152258)
上田 拓史 高知大学, 総合研究センター, 教授 (00128472)
中野 伸一 愛媛大学, 農学部, 教授 (50270723)
高橋 暁 独立行政法人産業技術総合研究所, 海洋資源環境研究部門, 主任研究員 (30357371)
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Keywords | 瀬戸内海 / 海砂利 / 生態系 / ナメクジウオ / 底生微細藻類 / サンドウェーブ / バイオクラスト |
Research Abstract |
本研究は、海砂利採取によって環境が破壊された瀬戸内海の砂堆域における環境の回復過程の監視と、砂堆域が瀬戸内海の生態系に対して果たしている役割の解明を目的としたもので、本年度は、これまでのモニタリングを継続するとともに、ナメクジウオの個体群調査の解析、砂堆域での基礎生産調査、長浜沖での底質、ベントス、魚類調査、砂碓の長期変化の数値実験などを行った。ナメクジウオの個体群データの解析では、卓越年級群の出現機構に関して、大きな親個体群から卓越年級群が産まれたとする「団塊世代説」と、幼生の濃密なパッチが着底時に運良く対象砂堆域に遭遇したとする「幼生パッチ説」の二つの仮説を検証した。その結果、現段階では幼生パッチ説が有力であることがわかった。砂堆域の基礎生産調査では、光・栄養塩条件が良好な砂堆周辺部で浮遊性微細藻類および底生性微細藻類の両者の活発な一次生産が起こっていることがわかった。また、大潮期の流速の増大によって堆積物と底生性微細藻類が捲き上がり、周辺海域へ供給されるとともに、表層部への栄養塩供給によって水中での一次生産速度をも高めていることも明らかとなった。このことは、砂堆周辺海域における生物群集の安定同位体比分析の結果からも示された。これらは、砂堆域が単なる砂地を好む底生性物の生息地となっているだけではなく、砂堆域や周辺海域の生産性を高めるという極めて重要な機能を持っていることを意味する重要な結果である。長浜沖の調査では、2005年からの3年間のモニタリングの結果、海砂採取海域のベントス群集が、採取禁止後2年足らずで対照区との差が余りなくなっていることがわかった。砂碓の長期変化に関する数値実験では、周辺に十分な砂の供給源があると仮定すると、砂の集積域の水深変化速度は1〜数mm/年であり、40m程度まで深くなった水深が10m程度に回復するには1〜数万年オーダーの時間がかかると見積もられた。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] 海砂採取の藻場への影響2007
Author(s)
高 橋暁
Organizer
九州大学応用力学研究所共同研究集会
Place of Presentation
九州大学応用力学研究所
Year and Date
2007-05-11
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より