2006 Fiscal Year Annual Research Report
氷床コア中宇宙線起源放射性核種の高密度高精度測定手法の開発
Project/Area Number |
16201005
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Research Institution | National Institute for Environmental Research |
Principal Investigator |
柴田 康行 独立行政法人国立環境研究所, 科学環境研究領域, 領域長 (80154251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植弘 崇嗣 独立行政法人国立環境研究所, 環境研究基盤技術ラボラトリー, ラボラトリー長 (90132844)
田中 敦 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 主任研究員 (80171734)
長島 泰夫 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (60091914)
松崎 浩之 東京大学, 原子力研究総合センター, 助教授 (60313194)
堀内 一穂 弘前大学, 理工学部, 助手 (00344614)
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Keywords | 宇宙線生成放射性核種 / ドームフジ氷床コア / 加速器質量分析法 / ^<10>Be, ^<26>Al, ^<36>Cl |
Research Abstract |
本年度は研究の最終年度にあたり、成果のとりまとめと実試料への適用を中心に研究が進められた。前年度までに確立された氷200gによる^<10>Beと^<26>Alの分析手法を用いて,ドームふじアイスコアの浅層部と深層部の分析を行った.その結果,浅層部においては太陽活動の200年周期の連続した証拠が認められた。一方,深層部においては年代の違いに対応する^<26>Al/^<10>Be比の深度減衰が確認でき、^<26>Alと^<10>Beの組み合わせによる絶対年代測定法について適用可能性が見えてきた.また同じく前年度までに確立された氷数gによる^<10>Beの少量分析法により,アイスコア深層部にて,地磁気イベントに関連すると思われる^<10>Beのピークを見いだした。ドームふじ氷床コアの切削片を試料として用い、深層コア中の^<36>Cl分析をおこなった。試料のイオン交換処理に2台のフローポンプシステムを用いることで、8試料を同時に、かつ短時間で処理することができ、比較的大容量の融氷水でも効率的に標的元素の濃縮を行えるようになった。また妨害となる硫黄を試料溶液から除去するため,硫酸バリウム沈殿法を処理過程に組み入れた。これまでに得られた^<36>Cl濃度は、最終氷期最盛期(LGM)付近で1.7x10^4 atoms g^<-1>と最も高く、3,000m付近の最深部では0.14×10^4 atoms g^<-1>であった。氷試料中の酸素同位体比を氷床涵養量の指標にして^<36>Clフラックスを求めた結果、全体の^<36>Clフラックスは浅層から深層部にかけてモデル年代に従って減少し、^<36>Cl半減期(301 kyr)と調和的な減衰曲線を描いた。^<36>Cl法についても氷床コア年代推定の新しいツールとしての見込みが得られた。
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Research Products
(10 results)