2006 Fiscal Year Annual Research Report
アジア循環システムのエコデザインと実現化ロードマップ作成
Project/Area Number |
16201007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤本 淳 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任教員(特任教授) (90345132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 靖 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40242086)
福重 真一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10432527)
李 志東 長岡技術科学大学, 経営情報系, 助教授 (80272871)
近藤 伸亮 独立行政法人, 産業技術総合研究所, 研究員 (40336516)
松本 光崇 独立行政法人, 産業技術総合研究所, 研究員 (00443226)
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Keywords | アジア地域 / 資源循環 / エコデザイン / リサイクルコストモデル / 環境汚染 |
Research Abstract |
海外でのリュース部品価格、リサイクル材料価格、人件費や輸送費などのデータを用いて、アジア地域でのEOL製品流通モデルを作成し、費用・便益分析を実施した。対象製品は家電4品目とパソコン(PC)。分析結果は文献調査や聞き取り調査から得られたEOL製品流通実態と概ね一致し、EOL(End of Life)製品流通モデルの妥当性が確認された。今後の課題としては、経済側面のみではなく環境負荷を考慮した上で、最適なEOL製品の流通シナリオを設計し、その実現可能性を、ライフサイクルシミュレーションを用いて評価することなどが考えられる。 前記枠組みを踏襲して、使用済み自動車の日中循環の可能性、条件などについて分析を行った。日本で処理する場合と比べると、日本から中国に輸送し、中国で処理する方が、部品や素材の回収率が上昇し、収支も改善される可能性が高いことを示した。輸送コストの低減、残存物の無害化処理などが課題である。 PCを例題としたアジア循環モデルを詳細化、データの追加を行い、リスクを含めたシミュレーションを行った。その結果、国内と比較して環境調和性、経済性共に向上するのは製品や部品をリユースする場合であり、材料リサイクルのみでは条件を満たさないという結果となった。実際に使用済みPCも国外に流出し、材料リサイクルされている可能性も高いが、その相違は、ここでは適正な処理を想定していること、種々の不測の事態を表すリスクを評価に入れているが、現実ではリスクを考慮していない可能性かおることが挙げられる。適正なアジア循環に向けて、トレーサビリティの確保が最大の課題であることが明らかになったが、シミュレーション上でトレーサビリティの有無をモデル化することが今後の課題として挙げられる。 2006年11月に、中国浙江省で、中国側の自治体および大学関係者と、第3回の日中循環経済シンポジュウムを開催し、現状の日中間での廃製品の移動状況、中国での廃製品リサイクルの現状等について議論を行った。この議論の内容をInderscience Publishersから論文集として2007年秋に出版する予定。 3年間の研究により、廃製品の流出は経済原則で動いており、各国間の経済格差が存在する限り、その流出は止まらない。環境の視点を入れた新しいリサイクルシステムの枠組みを、わが国だけではなく、アジア各国と協調して構築する必要があることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)