2006 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素による種々のDNA損傷に対するin vivo細胞応答の解析
Project/Area Number |
16201010
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安井 明 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60191110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高尾 雅 東北大学, 加齢医学研究所, 講師 (70216612)
中嶋 敏 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (00375114)
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Keywords | 塩基損傷 / 単鎖切断 / 二重鎖切断 / APエンドヌクレアーゼ / PARP / DNA修復 / 発癌 / 老化 |
Research Abstract |
今年度は塩基損傷の修復に関わる新規の蛋白質を同定した。データベース検索でFHAドメインを持つヒト新規蛋白をコードするC2orf13を発見した。このコードする蛋白質をPALF(PNK and APTX-Like FHA protein)と命名した。この蛋白質は、驚いたことに、その組換え蛋白質を作るとAPサイトを強く切り、その切り方は唯一のヒトAPエンドヌクレアーゼとして知られているAPE1と同じ切る方で、さらにチミングリコールやハイドロキシウラシルなどのピリミジン損傷の直ぐ5'側に3'OHを作る様にニックを入れることが分った。すなわち、PALFはAPE1以外に見つかった2番目のヒトAPエンドヌクレアーゼである。PALFはAPE1と異なりAPサイトにニックを入れるのみならず、3'側に切ってゆく、すなわちエキソヌクレアーゼの活性もある。実はこの活性により単鎖切断が生じたときにPARP1を活性化する能力をもつ。PALFにはその後半部分にZinc-finger likeな配列をタンデムにもつCYRドメインと我々が名付けた領域を持ち、このドメインのみでAPエンドヌクレアーゼの活性がある。CYRドメインはこれまに発表された種々の高等真核生物に分布していて、ショウジョバエでは、CYRドメインのみからなる蛋白質をコードする遺伝子が存在する。ヒトPALFにGFPを結合させ、ヒトHeLa細胞で発現させ、レーザーの局所照射で単鎖切断を作らせると直ちに照射部位に集積し、その集積はPARP1依存的であり、直ちに解離する。PARPの活性阻害剤DIQを作用させると集積は少し遅れ、同時に解離が起きない。このことは、PALFがPARP1と共に単鎖切断部位に集積し、ニックをギャップに変えてPARP1を活性化し、自身はポリADPリボシル化されて現場を離れる。APサイトの場合はPARP1依存的に集積し、PALFがニックを入れ、ギャップを作ってPARP1を活性化し、XRCC1をリクルートして修復を進行させると考えられる。PALFはPARP1のみならず、二重鎖切断の修復に関わるKU80,XRCC4,LIGASEIV, DNA-PKcs等と直接に結合し、またX線、HU, cis-Pt, CPTなど、二重鎖切断や複製フォークを阻害する処理によりfociを作ることが分った。更にこれらのfociとリン酸化H2AXのそれとは全く一致した。このように、PALFは単鎖切断のみならず二重鎖切断の修復に関与する新規蛋白であり、今後の機能の解明が待たれる。
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Research Products
(6 results)