2004 Fiscal Year Annual Research Report
臭素系難燃剤PBDEによる広域汚染・生物蓄積の実態解明と生態影響評価に関する研究
Project/Area Number |
16201014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田辺 信介 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (60116952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 久人 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (10271652)
梶原 夏子 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 助手 (80363266)
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Keywords | 臭素系難燃剤 / PBDEs / アジア・太平洋地域 / 広域汚染 / 環境動態 / 生物濃縮 / 野生生物 / 生態リスク |
Research Abstract |
本研究の目的は、PBDEs(ポリ臭素化ジフェニールエーテル)による環境および野生生物の汚染実態と広がり、生物濃縮の特徴、リスク評価等について究明することにある。平成16年度は分析法の検討および広域汚染の実態解明と環境動態の解析を試み、以下のような研究成果が得られた。 鯨類の脂肪組織、魚肉、土壌を用いて環境試料に適用できるPBDEsの分析法を確立した。まず、ソックスレー抽出器を用いた溶媒抽出を検討し、エーテル・ヘキサンの混合溶媒で脂肪/有機物とともに効率よく抽出されることを確認した。次にゲルろ過法による脱脂操作を検討し、既存の有機塩素化合物と同様にPBDEsを効果的に脂肪と分離することに成功した。また、シリカゲルカラムを用いた分画およびクリーンアップに関しても適切な条件を検討し良好な結果を得た。さらにガスクロマトグラフ質量分析法による定量についても検討し10臭素化体を含む全異性体について精度良く定量できる条件を設定した。本分析法の精度および感度を検証するため、米国NISTが企画したインターナショナルインターキャリブレーションプログラムに参加し、良好な成績を得た。 本分析法を用いて、カツオおよび鯨類の広域汚染モニタリングを実施した。分析に供したすべての試料からPBDEsを検出し、この種の物質による汚染が地球規模で広がっていることを実証した。この研究の過程でPBDEsの汚染は日本周辺よりも東シナ海で顕在化していることを発見し、この物質の汚染源は先進諸国だけでなく、経済成長の著しい途上国にも存在することを示唆した。また、PCBsやダイオキシンなど既存の有機塩素化合物の分布と併せてデータを解析し、PBDEsはPCBsの汚染分布と似ていることを見出した。すなわち、PBDEsは地球汚染型の物質であることを指摘した。
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Research Products
(8 results)